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都会の退廃 〜 ジュリア・ウー『2ession』
(3 min read)
Julia Wu / 2ession
とってもいいぞと以前ご紹介したジュリア・ウー。中国生まれのオーストラリア人でいまは台湾を拠点に活躍中の新世代R&B歌手ですが、新作というかこれはなんだろう?EP『2ession』(2022)というニュー・リリースがこないだありました。
たったの四曲15分しかありませんが中身がサイコーなので、短く軽く書いておくことにしました。収録曲はいずれも過去にジュリアがリリースしていた既発曲の再演ニュー・ヴァージョン。
これはでもぼくがこの歌手を知っているからわかることで、このアルバムについていままでなんらの発表も情報も、中文ですら、さがしてもありませんし、ジュリアの公式Instagramでもまったく触れられていません。売る気ないのか?
ジャケット画像すらどこにも存在せず拾ってこられなかったから、今回はSpotifyアプリで表示させたのをiPhoneでキャプチャしクロップして体裁を整えたという次第。八年で初の事態だよなあ。
ともあれジュリアの新作『2ession』、コンテンポラリーR&Bでありながら、自身の既存代表曲のオーガニック生演奏リメイクというところに主眼がありそうな内容。いままでこの歌手をご存知なかったみなさんも入っていきやすい入門的な一作のようにも思えます。
四曲ともほんとうにいいです。サウンドも聴きやすいし、ナマの質感を活かしながら随所に適切なデジタル処理がほどこされています。歌手の声もソフトでおだやか。決して声を張ったり叫んだりせず淡々と歌うスタイルなのがいかにもコンテンポラリーR&Bらしいところ。
そんな現代的なアンビエンスなのに、レトロ趣味なぼくの大のお気に入りになっているのは1990年代R&Bふうのフィーリングがはっきり聴きとれるところです。そして新作はオーガニックな楽器演奏での組み立てにこだわったことで、よりいっそうの嗜好品となりました。
なかでも4曲目「你是不是有點動心」。絶品やないですか。なんですのこのムーディなアトモスフィアわ。都会の夜におしゃれなバーみたいなところで窓外のネオンでも眺めながらゆっくりくつろいでいるような、そんな洗練された曲調と伴奏と歌。= 都会の退廃。2017年の曲で、いままでに二つのヴァージョンがありましたが、今回のが最高のもの。
(written 2022.5.4)