ディランで聴くよりディランっぽい 〜 ニッティ・グリッティ・ダート・バンド
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Nitty Gritty Dirt Band / Dirt Does Dylan
メンバーは替わりながら50年以上続いているニッティ・グリッティ・ダート・バンドの2022年最新作は『ダート・ダズ・ディラン』というタイトルのボブ・ディラン曲集。こ〜れが、グルーヴィで、カッコいい。
かなりの有名曲から地味なところまでとりまぜて全10曲、さほどオリジナルとアレンジも変えずそこそこ忠実にカヴァーしているのに、ディラン自身(やザ・バンドとか)のよりずっといい、曲の魅力がいっそうよく伝わるできばえだと聴こえるのは不思議です。
個人的に特に好きだと感じるのは、3曲目ブルージーな「イット・テイクス・ア・ラット・トゥ・ラフ、イット・テイクス・ア・トレイン・トゥ・クライ」から、ディープなノリがいい6「シー・ビロングズ・トゥ・ミー」まであたり。
ことに4「カントリー・パイ」からそのまま切れ目なくつながる5「アイ・シャル・ビー・リリースト」には、かの二人組若手ブルーズ・ロック・バンド、ラーキン・ポーが参加、ハーモニーやソロで歌ったりギター・ソロをとったりなど大活躍。おかげでニッティ・グリッティの演奏にコクが出ているし、曲もますます生きています。
そのままの流れで、ロス・ホームズのフィドルも絶好調な続く6「シー・ビロングズ・トゥ・ミー」の躍動感もあざやかでいいですね。複数の曲で全体的に(ディラン・オリジナルにはあまりない)ブルージーでグルーヴィなフィーリングがわりと濃いめにただよっているように感じるのは、ニッティ・グリッティ元来の持ち味にくわえ、ラーキン・ポー参加のおかげでもあるんでしょう。
ぼくが最初に知って書いた二年前にはまだ知る人ぞ知るという存在だったラーキン・ポーも、いまや各所ですっかり活躍の場をひろげ、知名度もあがっている模様で、うれしいかぎり。こういったクラシカルなブルーズ・ロックをやる若い世代まで、ニッティ・グリッティみたいな60年代出発のベテランから連続的につながっているんだなあと実感できて、ほんとうに気持ちいいです。
本作ではその太い糸をつないでいるのが1962年からずっと2022年でも現役第一線にいるボブ・ディランのソングブックだということで、その曲調を活かしたオーソドックスなカヴァーでも、なぜか本人自演以上に曲のよさがナマナマしく響くニッティ・グリッティの実力を思い知ります。この手の音楽はいつまでも色褪せないということも。
(written 2022.6.16)
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