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シリアスにならない明るくポップな南ア・ジャズ 〜 テテ・ンバンビサ
(2 min read)
Tete Mbambisa / Tete’s Big Sound
南アフリカのジャズ・ピアニスト、テテ・ンバンビサの1974年作『Tete’s Big Sound』がレコードで復刻されたということらしく、おそらくそのタイミングでということでしょうかサブスクでも聴けるようになりました。
ジョン・コルトレインやファラオ・サンダースへの南アからの回答といった勇ましい売り文句も目にしましたが、本作はそんなシリアスなスピリチュアル・ジャズとかではなく、サックスも決してブロウしたりしない、明るく楽しく軽いフュージョンっぽい音楽です。
ぼくのいちばんのお気に入りは4曲目「Dembese」。もちろんその前の3「Black Heroes」も強い意義を持っている曲でしょう。大海を思わせるゆったりしたグルーヴを持っていてすばらしいです。それに続いて4曲目が流れてくれば、ほんとうに大きな快感。
ほどよいビートが効いていてノリいいし、明るく陽気。その陽気なポップさは、上でも書きましたがフュージョンのそれ(ジャズのというよりはどっちかというと)だとぼくには聴こえます。
ジャズとなにが融合しているのかここではよくわかりませんが、たぶんこれは南ア現地の伝統音楽がジャズとあわさって展開しているんじゃないかという気がします。シリアスになりすぎないアフリカネスが、ちょうど一時期のフュージョンがそうだったように、こうしたはじける陽光を思わせる明るいジャズになっているのかも。
(written 2023.3.22)