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しんどいとき助けになる音楽(13)〜 キャロル・キング「アップ・オン・ザ・ルーフ」

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Carole King / Writer

西海岸に移ったキャロル・キングが『タペストリー』(1971)で大ブレイクするその一個前のアルバム『ライター』(70)末尾に収録されている「アップ・オン・ザ・ルーフ」が切なくてはかなくて、ほんとうに大好き。

NYCのブリル・ビルディング時代に書いたもので、もとはドリフターズへの提供曲でした。そっちも有名だけど、ぼくはこのキャロル自演ヴァージョンのほうが圧倒的に好きですね。最大の理由は「しんどい」人間向けの歌だから。

つらいときは屋根の上に逃げるんだっていう内容で、ドリフターズのは仕事が忙しいときに一服しようといった程度の歌だったのが、キャロルのはもっとグッと内省的になっていて、自己を見つめ、しんどいときにはこうすればいいのかもっていう、いかにもシンガー・ソングライターらしい内的な歌へと変貌しています。

そんなところが、このキャロル「アップ・オン・ザ・ルーフ」が沁みる理由。ミーハー・ファンのぼくは長年『タペストリー』でしか触れてこなかった音楽家でしたけど、あるときCD二枚組のベスト・ボックス『A Natural Woman: The Ode Collection 1968-1976』っていうのが出たときにそれを買ってみたんですよね。

いま調べてみたら1990年代末ごろの発売だったみたい。そしたら一枚目に「アップ・オン・ザ・ルーフ」が入っていて、一聴で泣いちゃったんですよね。ドリフターズのヴァージョンすら聴いたことなかったんですが、このキャロルのはなんて沁みるんだと。一発でこの曲のファンになっちゃいました。

ずっとずっと前、このブログのコメント欄でAstralさんとこの曲の話になったことがあって、同じ気持ちの人間がほかにもいるってわかったのはうれしかったですよ。一般世間ではさほどなんとも思われていない曲らしいですけどね。

(written 2023.8.24)

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