アナザー・ルーフトップ in コロナ時代 〜 ノラ・ジョーンズ
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Norah Jones /
Let It Be →
I’ve Got A Feeling →
あれっ、きょうは1月30日なのか。ビートルズのルーフトップ・コンサート(完全版)配信のことを書いてアップしましたけど、それがロンドンはアップル・ビルの屋上で行われたのが53年前のピッタリ1/30。意識していなかったですけど、偶然ってオソロシイ。
それで、ぶらぶらTwitterを眺めていたらビートルズ公式がシェアしてくれていたので知ったノラ・ジョーンズとバンドによるライヴ・カヴァー二曲「レット・イット・ビー」「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」の動画を観ました。
そして、それもなんとルーフトップ・コンサートなんですよね。米ニュー・ヨークのエンパイア・ステイト・ビルの展望デッキで実施された、これも無観客配信ライヴ・ショット。それでもってビートルズのアルバム『レット・イット・ビー』からの曲をやるなんてぇ。同じようにみんな厚着で寒そうだし。
公式YouTube動画の説明文に書いてあるのを転載しておくと、昨2021年12月の撮影で、サーシャ・ドブスン(vo)、ガス・セイファート(ba, vo)、ブライアン・ブレイド(dms, vo)というシンプルな編成。観客らしき歓声が終演後に聞こえますが、どこにいるんだろう?
NYCエンパイア・ステイト・ビル屋上でのノラのこれは、そもそも昨年の新作クリスマス・アルバム『アイ・ドリーム・オヴ・クリスマス』を記念してクリスマス時期の12月に実施された配信ライヴで、そこからのレパートリーを中心に約25分間。それにビートルズの二曲はありませんでしたが、おそらく同じときの収録だったのをとっておいたんでしょうね。
もちろん曲「レット・イット・ビー」のほうはビートルズのルーフトップ・コンサートにありませんけれど、この二曲をノラが選んだことには意味がありそうです。「暗闇でも一筋の光が差す」「離れ離れになっていてもいつかきっと会える日がある」(「レット・イット・ビー」)、「だれだってつらいときはあるもんさ、いいことだってある」(「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」)など、いまのこのコロナ時代にメッセージとなりうる内容じゃないですか。
ビートルズのルーフトップ・コンサートやアルバム『レット・イット・ビー』でこれほどの訴求力を持つものはこれら以外にありませんからね。もちろんポールもジョンもいつの時代どんな状況にもあてはまることを書いただけで、普遍的な価値を持つ歌だと言えるんですが、いまは人類がことさら困難な状況に直面しているように思いますから。
ノラのエレピの弾きかたや歌いかたには、特にエレピのほうかな、かなりファンキーでブルージーなタッチが目立っていて、ぐいぐい迫るこの泥くささはまるで50年くらい時代をさかのぼったよう。でもそもそもそんなスタイルを最初から持ちあわせてきた音楽家で、このNYルーフトップ・ライヴにかぎった話ではありません。
まるで、ロンドン(アップル・ビル)とニュー・ヨーク(エンパイア・ステイト・ビル)という二つのルーフトップを、53年の時を超えて、結びつけているかのような演奏フィールで、おおいに胸を打たれるスペシャルなものがありますね。
(written 2022.1.30)