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しんどいとき助けになる音楽(36)〜 カーティス・メイフィールド
(2 min read)
Curtis Mayfield / New World Order
ダークでペシミスティックなトーン 〜 これがカーティス・メイフィールドの最終作『ニュー・ワールド・オーダー』(1996)を支配しているフィーリングですが、そうであるがゆえにいまのぼくはとても強く共感し、そうだよねえと納得できるんですよね。
明るめの曲もあるにはありますが、全体的にはどこまでも暗く、とまで言わなくても落ち着いた渋い色調で塗り込められているでしょう。あらゆる面で絶好調だった30代なかばで出会ったんですけども、歳とって、さらにきびしく体調が悪化して悲観的な気分になってきている現在では、かけがえのない大切な音楽に聴こえるんですよね。
だからといってカーティスは決して絶望しているわけでもありません。若さと健康の貴重さを一つのテーマとして扱っている作品のように思えますが、ここでのカーティスならではの人生に対する深い理解、納得感、そしてある種のポジティヴィティも込められているんです。
こういった音楽は、カーティスと似たような境遇にある人間をなぐさめてくれるだけでなく、人生が思ったようにならず、不健康で、落ち込んでいるすべてのみんなに向けられたもの。聴けば慰撫されるし、つらいことばかりの人生も、だからこそ美しいんだと語りかけてくれているかのようです。
(written 2023.10.4)