バラケ・シソコの新作では、ソナ・ジョバーテとサリフ・ケイタがいい
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Ballaké Sissoko / Djourou
それで、ソナ・ジョバーテ近年の姿を知るきっかけになったマリのコラ奏者バラケ・シソコの新作『Djourou』(2021)についても、正直言って気が乗らないんですけども、いちおうちょこっと短くメモだけしておきましょうかね。
バラケのコラ独奏も二曲あるものの、大半で多彩なゲストを迎えているというのが特徴のアルバムなので、以下にそれを整理しておきましょう。
1)Demba Kunda
2)Djourou(ソナ・ジョバーテ)
3)Jeu sur la Symphonie Fantastique(パトリック・メッシーナ、ヴァンサン・セガール)
4)Guelen(サリフ・ケイタ)
5)Kora(カミーユ)
6)Mande Tabolo
7)Frotter les Mains(オキシモ・プッチーノ)
8)Kadidja(ピエル・ファッチーニ)
9)Un Vêtement Pour La Lune(フェウル・シャテルトン)
全体的に内省的でスピリチュアルな内容かなと思います。個人的に印象に残ったのはやはりソナ・ジョバーテをコラとヴォーカルで招いた一曲とサリフ・ケイタが歌っている一曲です。特にソナのファンなので、ぼくは、だからその演奏と歌が聴けた、それも近況だったというのはうれしかったです。
サリフが歌っている4曲目も、バラケの落ち着いたコラ演奏はなんでもない感じですが、その上に乗るサリフの声がやはり最上級。いい具合に枯れてきて、淡々としているのがかえっていまの味で、いいですね。引退を表明済みのはずですが、たまにこうしていろんな音楽家のアルバムにゲスト参加するのは歓迎です。
パトリック・メッシーナはフランス国立管弦楽団首席クラリネット奏者+ヴァンサン・セガールはこれまでもたびたび共演を重ねてきたチェロ奏者。カミーユはフランスのポップ・スター、オキシモ・プッチーノも(マリ出身ながら)フランスの人気ラッパーです。
そのオキシモ・プッチーノが参加している7曲目では、ラップというよりポエトリー・リーディングに近いものが展開されていて、リリックの意味は聴いてもぼくにはわかりませんが、このバラケの音楽の内省感とあいまって、なんだかなかなかいい雰囲気だなと聴こえます。
ピエル・ファッチーニはロンドンのシンガー・ソングライター(でも英語では歌っていませんね)、フェウル・シャテルトンはフランスのバンドみたいです。このへんは、う〜ん、どうも音楽的必然性が感じられないし、おもしろみにも欠けるような気がします。
(written 2021.10.5)