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コンテンポラリー・フュージョン 〜 ルビー・パン
(3 min read)
Ruby Pan 潘子爵 / 沒問題少女
台湾のジャズ・サックス奏者、ルビー・パンの最新作『沒問題少女』(2023)がめちゃめちゃよくて、ぼく好み。いままで知らなかった音楽家なんですが、演奏だけでなく作編曲プロデュースもぜんぶ自分でやっているそう。台湾ではすでにいろんな歌手のライヴなどで欠かせないキー・パーソンみたいです。
アルバムがいいねえと思ってインスタで投稿していたらご本人が見つけてくださって、イイねとコメント(in 日本語)もらうっていううれしいこともありました。最近こういうことが増えています。
本作は簡単にいえば1980年代的なフュージョンなんですけど、個人的な気分としてはこうしたいまどきの音楽を従来の枠組みやタームのなかで理解してしまうのをもうやめたほうがいいかなぁって。
あくまでコンテンポラリーなジャズの流れのなかに位置付けたいと思うんですよね。それがたまたま聴いた感じ80年代フュージョン的であっても、古い考えの枠内に入れてしまわないほうがいいと思います。『沒問題少女』もコンテンポラリー・ジャズの新傾向ですよ。
曲によっては著しく快感なというか心地いいものがあって、ぼくとしては特にホーン・アンサンブルによるリフにそれを感じます。それらもルビーが自分で書いているってことで、なかなかの才能じゃないでしょうか。
アレンジされたあいまを縫うように走るサックス・ソロはまずまず無難かなといった内容。特筆すべきものはないように思うんですが、本作の聴きどころはインプロ・ソロ・ブロウではありません。作編曲の冴えやそれを演奏するバンドのパフォーマンスの高さにみごとさがあります。
そうした点(アレンジ/ソロのバランス感)においてもコンテンポラリー・ジャズのなかに位置付けられますし、そもそもフュージョンの流行から40年ほどが経過して、あのころのああした音楽が若手のなかで血肉化してきたのかもなあという気がします。
それくらい定着するには時間がかかったのかもしれませんね。かなり都会的な音楽であるところも近年の台湾ジャズの流れに沿うもの。
(written 2023.12.4)