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オルジナリウスの新作はボサ・ノーヴァ曲集
(3 min read)
Ordinarius / Bossa 20
今年二月にオルジナリウスの新作が出ていたようです。『Bossa 20』(2021)。七人編成(うち一人はパーカッション専念)によるブラジルのコーラス・グループで、2008年結成。アルバム・デビューは2012年。
オルジナリウスについては、以前2018年に一度記事にしたことがありますし、
民音主催で翌19年暮れに来日公演をやった際は松山にも来ましたので、ぼくも行きましてレポートを書きました。
このライヴ・レポの最後のほうにも書いてありますが、まもなく次のアルバムを出すべく準備中とステージで言っていたんですよね。なかなかリリースされないのでどうなっているんだろう?と首を長くしていた待望の次作がとうとう出たということでしょう。
そんな新作『ボッサ 20』は、なんとボサ・ノーヴァ・スタンダード集。全12曲、なかでも特に有名なのは、マルコス・ヴァーリの2曲目「Samba de Verão」、ルイス・ボンファの4「Manhã de Carnaval」、アントニオ・カルロス・ジョビンの8「Wave」と「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」、ジョアン・ドナートの9「A Rã」あたりでしょう。
そのへん、だれが書いた曲かみたいなことは、以下のディストリビューター・サイトに全曲の情報がまとめられていますので、気になるかたは目を通してみてください。
「ウェイヴ」とか「イパネマの娘」といったジョビン・ナンバーは、2019年12月の松山公演でも歌われました。そのころから次作に収録したいという気持ちがあったのかもしれませんし、あるいはライヴで手ごたえがあったのでアルバム収録しようと思ったという可能性もあります。
新作でもオルジナリウスの持ち味は一作目、二作目とまったく変わらず。ハーモニーの構成は実は複雑で、9thや13thといったテンションを多用し、半音でぶつかる多声の美しさをたたえながら、聴いた感じまったく難解な感じがせず、逆にとても明快で聴きやすいポップな音楽を展開しているところに、このグループの真の凄みがあります。
名曲ばかりなので、原曲やほかのカヴァーとのアレンジの聴き比べをしても楽しいし、ブラジル音楽にいままで縁遠かったかたがたであれば、お気に入りの曲を見つける入門編としてもオススメできる内容になっていると思います。
とにかく(音楽的には高度でも)むずかしいことをいっさい感じさせないオルジナリウスのヴォーカル・コーラス、そのままイージーに楽しんでいくのがこのグループへの接しかたでしょうね。新作では明快さにいっそう磨きがかかったように聴こえますよ。
(written 2021.9.14)