最高にぼく好みのグルーヴィさ 〜 エマ・スミス again
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Emma Smith / Snowbound
去年のクリスマスに一度書いたんですけども、その後なぜだかいっそうくりかえしどんどん聴きたくなって、そうするうちこりゃなかなかの傑作だろう、すくなくともぼくの好みどまんなかの楽しい音楽だと確信するようになったロンドンのレトロ・ジャズ歌手エマ・スミスのEP『スノウバウンド』(2022)に、もはやヤミツキ。
日本だけじゃなく全世界的に話題になっていないのはEPだからなのと、クリスマス・シーズン用としてリリースされたフェスティヴ・ミュージックにすぎないためであろうと思われますね。でも音楽は一級品、季節を問わず楽しめます。
徹底的にアレンジされている、特にリズム面で入り組んだ複雑な決めをバンドと歌手が全員一体となって演唱しているというのが最高にぼく好みで、かといって予定調和だとか枠にハマったとかって感じがせず、ぐいぐいくる勢いを感じさせるのがグッド。
そんなアレンジはサックスのアレックス・ガーネットが担当しています。その他オルガンがロス・スタンリー、ギターがニック・コストリー・ワイト、エド・リチャードスンのドラムス(これもうまい)。
全体的にレトロでありかつファンキー&グルーヴィな雰囲気が濃厚にただよっているのが大好物なんですね。エマ本人はレトロじゃなくヴィンテージということばを使っていますが、どっちにせよ1950年代の音楽性。それが現在でもイキイキと躍動していると聴けばわかります。
五曲あるうちメロウ・バラードの二曲をはさんでいるテンポのいいグルーヴ・チューン1、3、5曲目が個人的にはたまらない快感。それらではアレンジされたバンドの演奏が闊達で、それも聴きものです。エマだって乗っかって調子よく歌っていますよね。
なかでも3「I’ve Got My Love to Keep Me Warm」がすごく楽しくて、これリズムの決めがめっちゃめちゃカッコいいでしょ。ストップ・タイムを駆使しまくるかなり複雑なアレンジですから、リハーサルを積んだだろうと思うんですよね。こうした決めに決めている音楽がぼくは好物なんです。エマのスキャットも一級品。
(written 2023.1.22)