しんどいとき助けになる音楽(9)〜 トミー・フラナガン
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Tommy Flanagan / Solo Piano
いま続けているこのシリーズはどれも過去に記事にしたものを再見しているわけですが、トミー・フラナガンの『ソロ・ピアノ』(2021)もそう。タイトルどおり独奏で、録音は1974年にチューリッヒで行われています。ちょうどエラ・フィッツジェラルドの伴奏者だった時期なので、楽旅で訪れていたのでしょう。
ことに3「Isn’t It Romantic」以後のスタンダード・バラード・セクションに入ってからがぼくは好きで、決してハードでないどこまでも静かでおだやかでリリカルなタッチがいいですよね。メロディの美しさを活かすように淡々と弾いていて。
4「Sleepin’ Bee」もきれいだしチャーミング、バラードじゃないけど6「Stompin’ at the Savoy」だって楽しい。そして7トラック目の「ストレイホーン・メドリー」がこれまたみごと。もはや絶品といいたいくらいの鍵盤タッチで文句なしです。フラナガンはビリー・ストレイホーンがまえから好きみたいですよね。
個人的白眉は10「Ruby My Dear」。「クレパスキュール・ウィズ・ネリー」「リフレクションズ」あたりにしてもそうだけど、セロニアス・モンクの書くこうしたきれいでかわいいバラードが心底大好物なんですよ。それをフラナガンは曲メロのチャームを最大限に活かすように腐心してていねいに弾いていて、これ以上の美しさはないと言いたいくらいです。
(written 2023.8.20)