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どうってことないけど、くつろげる(2)〜 トミー・フラナガン・トリオ

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Tommy Flanagan / Tommy Flanagan Trio

ちょっと前の新着案内プレイリスト『Release Rader』で流れてきて、そのときちょうど公園をお散歩ちゅうだったんですけど、音楽の美しさにハッとして思わず足が止まりそうになったトミー・フラナガンの『トミー・フラナガン・トリオ』(1960)。

ムーズヴィル・レーベル(プレスティジの傍系)からの一作なので、俗にトミフラのムーズヴィルと言われたりしてきたと思うんですが、それにしてもなぜ新着案内で流れてきたんでしょう。あらたにリイシューされたとかでしょうか。う〜ん、べつになにもないと思うんですけど、そのへん確認はしていません。

ともあれスタンダードなピアノ・トリオ編成(トミー・ポッター、ロイ・ヘインズ)でおだやか&静かに淡々と弾いているっていうのがいまのぼくには最高に気持ちいいんです。 意図してこうしたサイレント・ムードをねらったような選曲と演奏で、やかましいのも得意なロイだって静か。

レイ・ブライアントあたりとも似て、フラナガン自身こうして落ち着いた中庸スタイルが得意なジャズ・ピアニストではあります。トリオ名作として世に名高い『オーヴァーシーズ』があんなにハードなのは背後のエルヴィン・ジョーンズが猛プッシュしているから。

本来的にはおだやか淡々路線のジャズ・ピアニストだったんだろうことは諸作を聴けばわかることです。このムーズヴィルの一作も、マジなんてことない、どうでもいいようなピアノ・トリオで、とりたてて傑作良作でもないし、ジャズ史のなかに埋もれたちりの一つにすぎないんですけど、そんな平坦な日常性のなかにも真の美は隠れているんだってことを最近実感しています。

(written 2023.4.5)

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