去りゆく夏の寂寥感のような郷愁 〜 エルヴィオ
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Hélvio / Baia dos Amores
bunboniさんに教わりました。
(きょうの記事題は、上記リンク先の記事内でリンクされているbunboniさんの過去記事からサンプリングしました)
アンゴラの歌手でしょうかね、モダン・センバを歌うエルヴィオの新作『Baia dos Amores』(2018)を聴きました。ぼくは上の記事で教わったので初耳のシンガーです。ところでそのbunboniさんの記事題、「ビター・スウィート・サンバ」(ハーブ・アルパート)のもじりで、ノルべきかと一瞬悩みました(笑)。
それはそうと、このエルヴィオ、Spotifyで見るとアルバム題も『Hélvio』になっていますけどね、ジャケット画像中央に青い文字が見えるでしょ、わかりにくいですけど、それを拡大してじっくり眺めると「Baia dos Amores」とあります。これがアルバム・タイトルじゃないんですか。こういったところ、Spotifyはけっこういい加減ですよねえ。
ともあれエルヴィオの『Baia dos Amores』では、アフリカン・サウダージともいうべきやるせない哀感がたまらないんですよね。過去作がSpotifyにないもんで、これだけ聴いて判断するしかないんですが、そういった切なさを特色のソング・ライティングをするひとなんでしょうか。
ブラジル音楽のサウダージやそれ由来のメロウネスにはめっきり弱いぼくなので、エルヴィオのこのアルバムでもそれがたっぷり聴けていうことなし。センバなリズムもいいですが、それは実はあまり強く表面に出ていないような気がします。それがモダン・センバということでしょうけど。
もっとこう、(アンゴラ・ローカルというより)ワールド・ワイドにアピールできうるようなポップなセンティミエントを表現できる歌手なんじゃないかとの感を強くしますね。ビート・メイクやサウンド・メイクも現代的で、ときおりヒップ・ホップ感覚のあるトラックもあり。ロックっぽいエレキ・ギターの刻みも快感ですね。
とはいえ、こういった音楽が(フィジカルでは)なかなかアンゴラ国外で世界流通しているという話も聞かず、もったいないことです。もちろんSpotifyなどでは聴けるので、その意味では世界に出ていると言えるんですけど、それで見つけるひとも滅多にいないということで、なんとも。
アルバム・ラストの曲後半に収録されている隠しトラックで、ドゥー・ワップふうのヴォーカル・コーラスをやっているのは、いったいなんでしょうかねえ。
(written 2021.4.26)