白熱のサルサ・ジャズ 〜 スティーブ・グアシ
(2 min read)
Steve Guasch y Su Orquesta Nueva Era / Siguiendo La Tradición
サルサの世界もそういえば男ばっかりですよねえ。
在NYラテン、ラテン・ジャズ・シーンの中核として活躍する打楽器奏者スティーブ・グアシが主役の2002年(2006年?)作『Siguiendo La Tradición』は、歌ものが少ないインストルメンタル中心のサルサ・ジャズ・アルバムみたいなもんだといえるでしょうか。
これがたしか昨2021年にレコードでリイシューされたということらしく、ぼくのタイムラインではかすかに話題になっていたので、それでようやく存在に気がついたわけです。
サルサ寄りのラテン・ジャズ作品としては特にどうってことないものかもしれませんが、ちょっと目立つのはメインストリーマーなモダン・ジャズ・ミュージシャンがよくやるスタンダード曲がいくつかふくまれていることです。
それも、えっ、こんなのがラテンになるの?っていうような有名曲ばかり。2「マイ・フェイヴァリット・シングズ」、10「ソーラー」(マイルズ・デイヴィス)、11「朝日のようにさわやかに」の三曲で、聴けばビックリ、原曲がなんだったかすぐには気づきにくいかもと思えるほどの変貌ぶり。
それらがラテン・ジャズ、サルサ・ジャズになったことなんてないと思うんですけど、ちょっと聴き、完璧にラテン・オーケストラのためにあつらえられたオリジナル・ナンバーみたいになっています。こんなの聴いたことないですよねえ。
ピアノやサックス、トランペットなどのソロもたっぷりで、しかもリズムが完璧キューバンなそれになっているだけでなく、原曲のコード進行も曲げてスパニッシュ・モードに展開してあるんですよね。打楽器群も派手に大活躍し、白熱のデスカルガみたいになっているパートはおおいに聴きごたえあります。
(written 2022.3.13)