耳残りする声とメロディ・ライン 〜 ザ・レイヴェイ・コレクション
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Laufey / the laufey collection
いとしきレイヴェイが、いままでにリリースした全曲を本人みずから一個のプレイリストにまとめてくれました。それが上でリンクした『ザ・レイヴェイ・コレクション』。収録されている曲は2020〜22年発表で、この中国系アイスランド人歌手(アメリカ在住)はデビューして二年しか経っていません。
レイヴェイはフィジカルをまったくリリースしないという新時代の若手音楽家で、どんな曲も配信とInstagramに載せるだけなんですけど、いまのぼくにはそれでなんの不自由もありません。出会うべくして出会ったという感じでしょうか。
とにかくこのプレイリストで現時点では「ぜんぶ」なんで、レイヴェイってだれ?どんな曲を書きどんな声で歌うの?どんな音楽?ってことは、これを聴けば全貌がわかります。
多くの曲でサーッていうテープ・ヒスっぽいのとかプチプチっていうアナログ・レコードを再生する針音みたいなのが入っていますよね。もちろんレトロなムードをよそおってわざわざ入れているわけです。
そういった、たぶん1950年代あたりの音楽文化への眼差しがレイヴェイの音楽には間違いなくあって、そのころのジャズやジャズ・ヴォーカルもの、ジャジーなポップ・ソングへの憧憬みたいなものにそれとなくふんわり付きあいながら自分の音楽をつくっているんだなと、聴いていて思います。
曲のなかには聴き終えてもいつまでも耳のなかに残り、ふとしたときに、朝起きたときとか夢のなかですら、脳内で再生されているっていうような、そんな印象的でチャーミングなメロディ・ラインを持っているものがあって、ソングライターとして魔力的。
さらにこのちょっぴり仄暗い、低くたなびくようなふたつとないアルト・ヴォイスがなんともいえない切なさをかもしだしていて、こういった種類の音楽へのレトロな視線をムーディにかきたててくれています。
(written 2022.3.6)