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2023年に甦るLAスワンプ 〜 ミコ・マークス with アワヴァイナル

(3 min read)

Miko Marks | OurVinyl Sessions

黒人ながらカントリー畑でデビューし、ゆえに苦労し、ロック、カントリー、ソウル、ゴスペル、ブルーズなどが渾然一体となっていた1970年前後ごろのLAスワンプ系みたいな音楽を現代に追求している新世代歌手ミコ・マークス(USアメリカ)のことは以前書きました。

リリースされたばかりの最新EP『Miko Marks | OurVinyl Sessions』(2023)もまた同じスワンプ路線。しかしこれ、アワヴァイナルって初耳ですけど、なんでしょう?なにかのバンドかプロジェクト?と思って検索したら、どうやらライヴ・ミュージックをサポートするプラットフォームらしいです。かつてのMTVアンプラグドとかそんな感じかな。

それなもんで「アワヴァイナル・セッションズ」の冠でさまざまな歌手のオーディオEPみたいなのがサブスクでリリースされていて、同内容を収録したヴィデオもYouTubeで同時展開している模様。ミコのはこれ↓

これによれば、バック・バンドはいままでミコをレコーディングなどでサポートしてきたリザレクターズです(といってもはじめて見るんだけど)。演奏曲もいままでにリリースされたアルバムに収録されている(ぼくには)おなじみの四曲。それの2023年版ライヴ再演ということですね。

ですから曲に目新しさはなく、歌も演奏もいままでミコを聴いてきた人間にはすっかり既知のスワンプ路線ですし、それでもあれですね、ザ・バンドとかその周辺、70年前後ごろのああいったロック系ミュージックがお好きなみなさんであれば、気に入っていただけるはずと思いますよ。

既発曲ばかりながら、オリジナル・ヴァージョンに比しバンドもミコも技量が進み練り込まれていて、熟練の味を聴かせるようになって滋味を増しているのは好ポイント。さらに一回性のライヴ・ミュージックであるのも曲にグルーヴィさをもたらす結果になっていて、楽しいです。

個人的に特にカッコいいぞと感じたのは2「Ancestors」。こうしたビートの効いたグルーヴ・チューンで聴くこの手の音楽はいつでも最高。フェンダー・ローズとエレキ・ギターのサウンドに支えられたバンドの演奏もみごとだし、ミコの張りのあって迫力と説得力に満ちたヴォーカルだってすばらしいです。

(written 2023.5.4)

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