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しんどいとき助けになる音楽(51)〜 ONB
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Orchestre National de Barbès / en concert
オルケルトル・ナシオナル・ドゥ・バルベスのデビュー作『en concert』(1997)は、いま考えても大傑作でした。かなり元気な音楽なのにしんどいときに聴けるのは、それだけ愛着を持っているということでしょう。
個人的にはライやシャアビ、グナーワなどマグレブ音楽への入門、道案内になってくれた一作で、これを足がかりにそうした世界に踏み込んでいったのでした。ですから大恩人ともいえるライヴ・アルバムで、いまだに忘れられないっていうわけです。
電撃的にONBのファンになり、しかしその後これといってパッとしたアルバムがないのは、基本的に寄せ集めの集合体で、録音したりライヴしたりするそのつどにメンバーを集める形式で、しかも本質的にライヴ活動を中心とするバンドだからなんでしょう。
『en concert』は、そんなこのバンドの最高の瞬間をとらえたもの。デビュー作にしてライヴでしかも最高傑作になってしまったから、その後(アルバム・リリースという観点からは)イマイチなのもしかたがないのでしょう。しかしライヴはONBの名義で現在も元気に続けている模様ですよ。
マグレブ音楽といってもONBがやっているのはミクスチャーで伝統そのままじゃありません。ジャズやロックなどで使われる楽器を大胆に使い、いはばごた混ぜのフュージョン状態にしてあるのがキモ。
それまでマグレブ音楽に縁のなかった身としてはそのほうが聴きやすくとっつきやすかったというのが事実です。でも、どんどんマグレブ音楽をディグしていくようになると、ONBのやっていることがイマイチに聴こえるようになってきたというのもまたたしかなことで、だから入り口だった『en concert』こそいちばんいいと、いまでも思えるのはとうぜんでしょうね。
(written 2023.11.6)