熱気ほとばしる最高峰のコンテンポラリー・ジャズ・コンボ 〜 クリス・ポッター
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Chris Potter / Got the Key to the Kingdom: Live at the Village Vanguard
ジャズ・サックス奏者、クリス・ポッターの最新作『Got the Key to the Kingdom: Live at the Village Vanguard』(2023)の全六曲はいずれもカヴァー。名を成したそこそこ有名なものも演奏しています。
念のためいちおう記しておくと、1(フレッド・マクダウェル)、2(アマゾン民謡、ヴィラ・ロボス採譜)、3(ビリー・ストレイホーン)、4(チャーリー・パーカー)、5(アントニオ・カルロス・ジョビン、シコ・ブアルキ)、6(トラディショナル)。
サックス+ピアノ・トリオのオーソドックスなジャズ・コンボで饒舌かつセクシーに熱く吹きまくるクリスの姿は圧巻。それはほかの三人もそう。全曲これでもかと長尺で、爆発するエネルギーがはじけていて、気おされるオーディエンスのため息や歓声も生々しくとらえられています。
ピアノのクレイグ・テイボーン、ドラムスのマーカス・ギルモアもすばらしくブロウしまくりでカッコいい。また、サックスの特に艶っぽさではバラードである 3「Blood Count」がなかでもすばらしい。ストレイホーン・メロディがもとからそういうものですけど、クリスがここで発散している色気はただごとじゃないって感じ。
スピーディなビートの効いた曲では迫力満点に四人とも疾走していて、ここまでの熱が込められているジャズ・ライヴ・アルバムは近年まれでしょう。さわやかなクールさや冷静沈着ネスが現代ジャズの特色ですから、アレンジに頼らない完全インプロで汗や唾がはじけとぶような熱気に満ちたこうした音楽は、まるで1960年代を思い起こすかのよう。
(written 2023.3.18)