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おだやかあっさり薄味の 〜 オマーラ・ポルトゥオンド

(2 min read)

Omara Portuondo / Omara Siempre

bunboniさんの紹介で知りました。

オマーラ・ポルトゥオンド(キューバ)の最新作『Omara Siempre』(2018)でいちばん好きなのは、やはり2曲目「Y Tal Vez」。1990年代の初演ではけっこうビートの効いた強い感じの曲だったのが、ここではふんわりしたボレーロへと変貌。

オマーラもフィーリンっぽく力を抜いて軽くすっと歌っていて、これこれ、こういうのですよ、いまのぼくがいちばん好きな音楽っていうのは。近年のグローバル・ポップスの潮流でもあって、最近ふだんからなんどもくりかえしていますように自分もトシとっておだやかで静かであっさり淡白な音楽がいいなと心から感じるようになってきました。

とはいえ、ここでの「Y Tal Vez」も、後半はモントゥーノみたいになってやや熱くもりあがるような感触もちょっとあるんですが、全体的にはあくまでクールです。同趣向のバラード系がアルバムに数曲あって、5、10、11曲目あたり。特にピアノ中心のしんみりした伴奏でつづる11「Yo Vengo A Ofrecer Mi Corazón」も絶品です。

bunboniさんが言うように、こうした表現は年老いて声が前みたいには出なくなってきたがゆえの枯淡の境地ということかもしれません。それにしては強いビートの効いた激しく快活で熱いソン・ナンバーなどもアルバムにいくつもあって、オマーラもリキ入れて歌っているじゃないか、枯れていないぞと感じる部分がありますけども。

さあ、キューバの大歌手オマーラ・ポルトゥオンドはどこまでやれるのか、いつまで元気で現役歌手として活動できるのか、87歳だけに不安もありますが、高齢なりのヴォーカル・スタイルを身につけたと解釈できるがゆえに、かえって楽しみでもありますね。

(written 2022.6.23)

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