かわいい香港ラテン 〜 江玲
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江玲 / Hong Kong Presents Off-Beat-Cha-Cha
bunboniさんに教わりました。
香港の歌手、江玲(コン・リン)の1960年作『Hong Kong Presents Off-Beat-Cha-Cha』がめちゃめちゃ楽しい。ノベルティなポップ・ジャズをベースにしたアジアン・ラテン歌謡なんですが、ノベルティといってもアクの強さみたいなものがない素直な音楽なのが聴きやすくていいですね。
こういうのをオフ・ビート・チャ・チャと呼ぶらしく、それがなんであるかは上記リンク先のbunboniさんのブログにくわしいので、ぜひお読みください。これも世界中に流布しまくったキューバン・ビートの、そのアジアにおける落とし子の一つなんでしょう。日本のドドンパのルーツみたい。
特にホーン・アレンジと小物打楽器の使いかたがなんともいえずキュートでしょ。ぐりぐりっとホーン・セクションがリフを演奏してパッと止まり、刹那ポコリンチョと打楽器が鳴ったりすんの、ぼくには生理的快感ですらありますが、なんともいえないかわいらしさを感じてしまうんです。
1960年前後という時代と(ある種の)エキゾ趣味に彩られているわけですけど、東南アジア地域におけるラテン歌謡、オフ・ビート・チャ・チャってそういうもんらしいですよ。キュートな愛らしさを感じて思わず笑顔になってしまうっていうのは江玲のヴォーカルもそうです。
おなじみのアメリカン・チューンズを歌っていますが、クセのない素直な美声で、歌唱法にはこねくったり表情を強く出したりするところがなくナイーヴでアクがなく、ストレート。おかげでノベルティなジャンルであるこうした音楽を上品に聴かせています。
(written 2023.2.13)