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ギリシアの波止場のアバネーラ 〜 ディミトリア・パピウ
Dimitra Papiou / Emathe I Kardia
ギリシアのライカですが、ディミトリア・パピウの七作目らしいアルバム『Emathe I Kardia』(2010)。この手のものは渋谷の音楽ショップ、エル・スールにどんどん入荷するので、HPをぶらついていれば自然と目にとまります。
夜霧にむせぶような、うらぶれた濃厚で抒情的なレベーティカ〜ライカもいいんですが、個人的に好きなのはたとえば4曲目あたりのやや陽なラテン・テイスト。このへんがとてもいいなと感じたので書いておこうと思ったんですから。
この曲はアバネーラなんですが、アルバムにはほかにタンゴもあるし、要はそういったカリブ海由来のシンコペイティッド・リズムが聴けるギリシア音楽だっていうのが、ぼくにとってのこの作品の魅力。
しかもそんなアバネーラな4曲目では、まずカモメの鳴く声が挿入されていて、波止場かなと思わせておいてから軽快なビートとブラス・セクションが入ってきて、ディミトリアが歌いだし、その後大編成コーラスまでくわわってにぎやかにやっているあいだも港か酒場っぽい雑踏音が混ざっているという。
ほんとこれ、めっぽういいです。実際アルバムのラストで同じ曲がインストルメンタル(といってもコーラスは聴こえるけど)・リプリーズされていますから、それはたんに歌入れする前のカラオケ・トラックかもしれませんが、やっぱりこれが聴きもの売りどころなんでしょう。
ほかにも薄味でフォーキーなテイストの曲もあったり、決して裏町裏通りの音楽だということばかりでもない日の当たる明るめな雰囲気もあって、歓楽に疲れたような?ふてくされたような?おいそれと近づける女ではありません的な?いやいや必ずしもそんな音楽じゃないよなあとの感を強くします。
ジャケットの印象とは裏腹に、とっつきやすく聴きやすい音楽でしょう。
(written 2022.3.16)