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フラッパーのように 〜 ヘイリー・タック

(3 min read)

Hailey Tuck / Coquette

萩原健太さんに教えていただきました。

このジャケット、まるで1920年代のフラッパーを彷彿させるこの姿を見ただけで、ヘイリー・タック(Hailey Tuck)という歌手がどんな音楽をやっているのか、想像がつきますよね。EP『コケット』(2020)ではまったくその予想を裏切らない音が出てきます。レトロなジャズ風味が個人的好みにピッタリ。

とりあげられている曲は一つのオリジナルを除きカヴァー。だれの何年ごろの曲かということは上掲健太さんのブログ記事に書かれてあるので、どうかご参照ください。ぼくが知っている曲は一個もなかったです。必ずしもジャズとかジャジー ・ポップスと関係ないもののようですけど、アルバムでのヘイリーの料理は完璧なレトロ・ジャズ手法ですね。

プロデュースもヘイリー自身でやっているとのことだし、いままでのキャリアを読んでも、たぶんこの音楽家はずっとこんな路線を歩み続けているみたいですよね。アレンジャーが別個にいるのかどうか知りたい気もしますが、たぶんだいたいの音楽的方向性は自分で決めていて、選曲もやっているんだろうと思えます。

健太さんのご紹介で、ぼくもいままで現代歌手のやるレトロ・ジャジー なポップス作品をいくつも聴いてきましたが、そう、サマンサ・シドリーとかキャット・エドモンスンとかですね、もっと前から数えればブロッサム・ディアリーとかステイシー・ケントみたいな歌手も入れていいんでしょうか、これらのひとたちはほぼ同趣向とみていいと思うんです。

もうそれらの歌手たちは大の好みで、ドリーミーな雰囲気で軽くふわりと、しかしときには辛辣な空気も混ぜながら、1910〜20年代の古いジャズやヴィンテージ・ジャジー・ポップスの衣をキュート&軽快にまとってみせているのが本当に気分いいです。なんたって聴いていて心地いいんですもんね。新しさ、2020年代というこの時代に即した意味を、みたいなことは、これらの歌手を聴いているあいだは考えないです。

ヘイリーの『コケット』で特にお気に入りになったのは2曲目の「シーバード」。この軽いスウィング感が大好きなんですね。ブラシでやるドラマーのサウンドもとても快感で、バンド(のメンツを知りたいところですが)の軽快な演奏が、上物であるヘイリーのドリーミーでチャーミングな声によく似合っています。ピアノの伴奏オブリガートもとてもいいですね。曲出だしと終盤のスライド・ギターも妙味。

テキサス州オースティン出身のアメリカ人でありながら、音楽性にヨーロッパ的な(甘暗い退廃の)ムードがただよっているところも好きですね。

(written 2020.5.22)

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