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『ブルー・ノート・リ:イマジンンド II』を聴く

(3 min read)

v.a. / Blue Note Re:imagined II 2022

二年ちょっと前くらいに『Blue Note Re:imagined』(2020)というアルバムが出て、大きな話題になりましたよね。ぼくも記事にしました(↓)。二匹目のドジョウということか、続編『Blue Note Re:imagined II』(2022)がこないだリリースされました。

今回の『II』でちょっと驚いたのはノラ・ジョーンズ・ナンバーが二曲あること。カサンドラ・ウィルスンがカヴァーしたニール・ヤングもあって、このへんがもうブルー・ノート・クラシックスという扱いなんですね。ロンドンでもコンテンポラリー・ジャズの源流としてノラやカサンドラがリスペクトされているんでしょう。

いっぽうにセロニアス・モンクの「エピストロフィー」みたいな正真正銘の古典だってあるし、それをやるのがテオン・クロスだっていう。シリーズのコンセプトというかアプローチは前作から不変で、古典遺産の現代的再解釈を通し、UKコンテンポラリー・ジャズ&ネオ・ソウルの立ち位置と方法論を再確認するというもの。

ブルー・ノート・クラシックスを素材とすることで、現代ジャズやその周辺にイマイチ乗り切れないっていう保守高年層ジャズ・ファンにもアピールできるんじゃないかという狙いだってひょっとしたらあるかもしれません。曲のよさといまどきジャズの楽しさを同時に味わえるというか。

新世代/旧世代といったって、ジャズって巷間言われるようなほどには変わっていないということもよくわかるし、もともと19世紀末の誕生時から多ジャンルというか多文化混淆的にできあがった音楽なので、いまのネオ・ソウル/ヒップ・ホップなどとの共存状態だってそんな目新しいものじゃないはず。

こうしたことは、たとえばエゴ・エラ・メイが歌う6曲目「ザ・モーニング・サイド・オヴ・ラヴ」(チコ・ハミルトン)でもはっきりしています。エラ・メイらしいヴォーカル・パフォーマンスですが、原曲の持つレイド・バック・フィールはそのまま継承。そうしたチル・アウト感こそクラブ世代らしいものですし。

ジャズって(そうじゃないものも多かったけど)もとからそんな感覚を持って演奏され届けられてきた音楽なんじゃないかとぼくは思っているわけです。正確にいうと、個人的にはそんな種類のジャズにこそ魅力を感じ、ずっとファンであり続けているというのが事実。

現代ロンドンの新世代ジャズ/ネオ・ソウル音楽家のレンズを通して見たときにブルー・ノートの過去遺産カタログはどう変貌するか?という試みではあるんですが、クラシックスとなった有名曲がもとから兼ね備えていた懐の深さ、新解釈を呼び込む多層な複貌性みたいなものにも光があたっているなというのが正直な感想です。

(written 2022.10.23)

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