ジョー・チェインバーズの最新作は快適なアフロ・ラテン・ジャズ
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Joe Chambers / Dance Kobina
1960年代から活躍しているベテラン・ジャズ・ドラマー、ジョー・チェインバーズ。ブルー・ノート移籍後のここ数作はラテン〜アフリカ路線の野心作が続いていますが、最新アルバム『Dance Kobina』(2023)はひときわみごとなできばえで、聴いていて実に楽しくスリリングで心地よい。
ジョーのドラムス/パーカッション/ヴァイブラフォンにベースとピアノがくわわるトリオ編成を軸に、曲によりサックスも参加。ドラムス、パーカッション、ヴァイブは他の奏者名もクレジット一覧にありますが、ここはどっち?という耳判別はできず。
甘美なバラードが三曲あるのも心地よさをかたちづくっている大きな要因。それらのメロウさは2010年代以後的なR&Bフィールのそれであるようにも聴こえます。ジョー・ヘンダスンが書いたものとか曲は古いばあいもありますが、ここでの演奏はコンテンポラリー。
ことに3曲目「Ruth」とかラスト9「Moon Dancer」なんてとろけそうなスウィートさで、こういうのだったら(ベテラン・)ジャズという狭い枠でなく、もっとひろくネオ・ソウルやR&Bがお好きなみなさんにも楽しんでいただけそうです。後者なんか虫の音が挿入されていてムード満点。
ラテン〜アフリカンなグルーヴを聴かせるタイプのビートの効いた曲(2、4、5、6、8)では、リズムのリフもしっかりていねいにアレンジされ練り込まれて効果的に使われているし、さらにビートが曲のなかで変幻にチェンジしたりします。サックス、ヴァイブ、ピアノのソロ・インプロも聴きごたえありますが、個人的にはコンポジションとグルーヴで聴かせる音楽だなと。
なかでも4「Caravanserai」はぼく好みの傑作ナンバー。その前の「Ruth」ともども今回用意されたジョー・チェインバーズのオリジナルで、ここらへんとか終盤8、9曲目らへんとか、そういった流れはアルバムを流していて最も快適に感じる時間です。
コンテンポラリー・ジャズの快作でしょう。
(written 2023.2.20)