泣いちゃうくらいにきれい 〜 ウェイン・ショーターの吹く「ドリーム・クロック」as ウェザー・リポート
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Weather Report / Dream Clock
ウェイン・ショーターが亡くなったときウェザー・リポートの全曲を聴きかえしてプレイリストを作成したんですが、ウェイン・フィーチャー・ナンバーのなかで最も強く再感動したのが1980年の『ナイト・パッセージ』2曲目「ドリーム・クロック」です。なんて美しいのかと。
全面的にフィーチャーされているウェイン一人の独壇場なんですが、曲はジョー・ザヴィヌルの書いたもの。そのメロディがこの上なくすばらしいということで、このサックス奏者の特性を熟知した上でのコンポジションであることもわかります。
いまの気分では、この曲こそウェザー・リポート時代でというだけでなくウェインにとっての生涯最高名演だったと言いたいくらい、それくらい美しく幻想的なバラードじゃないですか。ジョーの曲ですが演者がウェインでなければ決して成立しないものです。
最初テナーで出て、そのあいだもきわめてすばらしく美しいです。そして途中でソプラノに持ち替えます。そこから吹かれるラインの深遠なたたずまいは筆舌につくしがたいものがありますよ。テナーもソプラノも音色やすみずみの表情まで曲想にあわせて完璧にコントロールされています。
あわせてジョーの弾くキーボード・シンセサイザーの音色選択やフレイジングも絶妙に調節されているし、ジャコ・パストーリアスのベースもきれい。バンド全体でウェインの吹奏美をサポートするようにていねいに構築されていて、畢竟の名演と呼びたいです。これ、多重録音なし、一回性のスタジオ・ライヴ録音ですから。
(written 2023.3.11)