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2020年代ジャズとしてのエリカ・バドゥ 〜 ホセ・ジェイムズ
(2 min read)
José James / On & On: José James Sings Badu
ごぞんじホセ・ジェイムズ(ほんとうはホゼでしょうけど)の新作はエリカ・バドゥ・トリビュートでエリカ曲集の『On & On: José James Sings Badu』(2023)。二人ともジャズやネオ・ソウルのフィールドで有名人なので、解説不要でしょうね。
日本語でだってテキストがいくつも読めるので、ぼくは個人的に気に入ったところだけちょちょっと手短にメモしておきます。11分以上ある大作の3曲目「Green Eyes」。エリカのオリジナルってどんなでしたっけ、とにかくこのホセ・ヴァージョンは出だしの雰囲気がとっても好み。
しかしなにぶん長く、途中でキーも曲調もパッと変わるんですよね。それも二回。出だしクールでおしゃれでさわやかジャジーにはじまって、いいなあと思っていたら、途中からのサックス・ソロ以後やや不穏になり、ピアノが熱を帯びてきてスピリチュアルにもりあがります。
後半にも一回チェンジがあって、パッと風景が変わります。そこからはスピリチュアリティは影をひそめ、ジャズというよりネオ・ソウルな音楽になっているんですよね。ヒップ・ホップな要素も主にビート感にあります。
あたかも録音後に編集したかのような一曲のなかでの変化とつながりなんですが、実は本人ふくめ六人編成のバンドをウッドストックのスタジオに集めての一発ライヴ録音だったそう。
個人的にはおだやか&さわやかジャジーなものがどんなジャンルであれ好物なんですが、しかしヒップ・ホップ影響下のネオ・ソウルとか(60年代ふうな)スピリチュアル・ジャズとかこそ、現代に訴求力を持つコンテンポラリーな音楽として意味を持つものではあるでしょう。
そういったのをホセはエリカの音楽に読みとって位置づけているんだろうなというのがアルバム全体から強く感じられます。そもそもオープニングのもろコルトレインなすべり出しかたなんかは、2020年代ジャズとしてのエリカ・バドゥ読みなおしっていう感じのスピリチュアルさで、これが本作を貫く首尾一貫したムードですね。
(written 2023.2.5)