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しんどいときに聴く音楽(73)〜 キャット・エドモンスン

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Kat Edmonson / Dreamers Do

USアメリカ人歌手、キャット・エドモンスンの『Dreamers Do』(2020)は、このタイトルどおり夢をテーマにした作品。選曲はディズニー・ソングが中心ですが、できあがりは決して甘くなく、かなり大胆に攻めた内容になっているのがキモ。

もちろんおだやかなジャズ・サウンドふうのものも多いんですが、折々で世界のさまざまな楽器を用い、ときに中国ふうだったりときに西アフリカふうだったり、カリビアンだったりブラジリアン・サンバだったり。

夢を見るというテーマをサウンドでも実現した世界の音めぐりになっているんですが、背景としてアルバム制作の前にワールド・ツアーをやって各地をまわったということも影響しているんじゃないかという見かたがあるようです。

たしかに二胡や琵琶、コラやタブラ、スティール・パンなど、ディズニー・ソングをやるにはかなり意外な楽器チョイスもあります。ありきたりのカヴァー集にはしたくなかったという意図がはっきり聴きとれますね。この歌手は前からいつもそう。

曲によっては大幅に改変してあるものがあって、たとえば5「星に願いを」。これは有名ディズニー・ソングのなかでも特によく知られたものの一つですが、ここでは歌詞も曲メロもかなり書きかえてあってオリジナルの面影はほぼありません。

それでもかろうじて「星に願いを」であるということだけはわかるギリギリの線のアイデンティティは保持してあるっていう。コラとタブラが大胆に使われているのはこれですが、そのことが夜の夢見ムードをいっそうもりあげるのに一役買っています。

(written 2024.1.14)

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