波に乗る最近のアイオナ・ファイフ
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May - Iona’s Playlist
今年四月からはじまったアイオナ・ファイフ(スコットランド)のSpotifyプレイリスト公開。アイオナが個人的に愛聴している音楽をプレイリストにまとめて公開するというもので、こういうのをフォローする理由は二つ、アイオナが好きだからということと、いつでもどこでも未知の音楽との出会いを求めているから。
しかしこれ、四月の頭に公開されたとき、名前も「April - Iona’s Playlist」となっていたはずですし、選ばれている曲もですねえ、知らないものばかりだったんですけど、けっこう楽しくて、ケルト系やスコットランドの音楽が多いのかなと想像していましたが、なんどもくりかえし聴いていました。
ところが、さあきょうも聴こうと思ってアクセスした4月30日、鳴らしはじめてアレッ?となっちゃいました。よく見たらタイトルも「May」に変わっているし、それよりなによりセレクションが全曲入れ替わっちゃっていたんですよねえ。
これはちょっとどうなんでしょうか?四月のアイオナ・プレイリストが気に入って保存していたぼくとしては、それがそのままソックリ入れ替わってしまったことがかなり残念で、う〜ん、説明文をいまさら読んでみたら「毎月更新する」とたしかに書いてありますけれども…。
こういうのって、上書き更新しちゃう(前のものを消してしまう)んじゃなくて、新しくつくったものはどんどん追加して積み重ねていくほうがいいんじゃないかって、ぼくなんかは思いますけど、どうなんでしょうかねえ。
だってこの世には無限の音楽があって、そのなかからアイオナがピック・アップしたセレクションは唯一無二のものだから、上書きして消してしまったらもうさがせないし、どこいったかわからなくなって、つまりこの世から消滅したも同然です。あんなに楽しかったのに。
知らない歌手、音楽家ばかりだったから、自力ではもうわからなくなってしまったアイオナの四月のプレイリストの内容。どこかにアーカイヴされていないのかなあ。う〜ん、残念。でも五月のセレクションもなかなか楽しいし、こうなるんだと学んだから、今後は気に入った曲は自分でいいねして保存しておくことにします、うん。
それはそうと、ここ数ヶ月、アイオナを取り巻く状況は改善しつつあるんじゃないかと思えます。輝きはじめているんですよね。
きっかけはおそらく昨年12月に発売したクリスマス・ソング「イン・ザ・ブリーク・ミッドウィンター」でした。もともと英語の歌だったものをアイオナは自力でスコットランド語に訳して歌ったわけですが、その際ちょっとしたことがありました。
Spotifyにこれを入れるとき、音楽家側は何語の歌なのか選んで登録するようなシステムになっているみたいなのですが、そこにスコットランド語が用意されていなかったのです。最初はアイオナもSpotify側におだやかに「私の新曲はスコットランド語にほかならないので、登録リストにスコットランド語も乗せてください」と要求していました。
なかなか実現せず、アイオナも要求をくりかえしていたのですが、Spotify側が一向に取り組もうとしない、その意思がないかのような冷酷対応なのを受け、アイオナも徐々に態度を硬化させ戦闘姿勢に変化。数ヶ月間にわたりアイオナ対Spotifyの闘いがくりひろげられたのでした。アイオナはかなり執拗に強い要求と抗議をくりかえしていました。
その結果、少し前にようやく折れたSpotify、スコットランド語を登録リストに入れたんですよね。アイオナの勝利でした。
なんだかこのバトル終結あたりからアイオナはTwitterでもInstagramでもあらゆる発信をスコットランド語だけで行うようになり(だからぼくなんかはその点ちょっとつらいのですが)、音楽活動も地元密着型というか、出身地のスコットランドはアバディーンシャイアに根ざしたものを推進するようになっています。
地元のスコットランド政府からは、かつてUK政府から受けていたのより多額の自営業者向け援助をもらえるようになっていると自分でも発言しているし、こないだなんか地元の名門サッカー・クラブ、アバディーンシャイアFCとも契約を結びました。アイオナの最新曲「ザ・ノーザン・ライツ」がチームの公式ソングになったのです。
新曲リリースも、昨年暮れのクリスマス・ソング以来、ほぼ月一のペースで、さらにすべてスコットランド語で、しかも地元の歌を、発売していて現在トータル四曲。これら、出来だってなかなかみごとなんです。特に4月2日リリースだった「スコットランド・イエット」はぼくの大のお気に入り。
それら計四曲、ぼくはまとめてプレイリストにしておきました↓
これらは製作中の新作アルバムに収録されるんですかね?今年はじめ〜初春ごろ、新作アルバムのためのクラウドファウンディングを募っていて、ぼくも微力ながら協力したんですけど、無事制作・発売されてほしいなと強く願っています。クラウドファウンディングが行われて当初の希望金額に到達したのが初春でしたから、アルバムの発売は今年秋〜末ごろかなあ。
地元密着を進めるいまのアイオナは波に乗っているんで、期待していいと思いますよ。
(written 2021.5.3)