Laufey & Sinfó
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※ 写真はいずれも本人の公式Instagramより
去る10月26、27日、故郷アイスランドのハルパ・レイキャヴィク・コンサート・ホールでアイスランド交響楽団との共演コンサートを開催し成功させたレイヴェイ(在ロス・アンジェルス)。大規模シンフォニック・オーケストラとのライヴはレイヴェイにとって初めてのことでした。
本人のInstagramストーリーにその模様がサウンドつきであがっていたので、ぼくも楽しみました。でも部分的だったので。配信でもフィジカルでもいいからフルの作品として公式リリースしないのかな。本人も気持ちの入ったメモリアルなコンサートだったようですから、ぜひ作品化してほしいですよね。
でもぱっとインスタ、それも他人の投稿をシェアするかたちでストーリーにあげちゃって(当面は)それでおしまい、24時間で消えちゃう、っていうのがいかにもいまどきというかZ世代らしいですよ。さすがにオフィシャルで実況録音くらいしただろうと思うんですけども。
いままでレイヴェイがオーケストラと共演したものというと、もちろんライヴじゃありませんが、2021年のシングル「Let You Break My Heart Again」一曲だけ。ふだん強調しているように、このところのレトロ・ポップスは少人数でのサロン・ミュージックふうなこじんまりした陰キャな音楽という部分にも特色がありましたし。
ぼくのなかではそんな近年レトロ・トレンドの象徴みたいな存在であるレイヴェイは、しかしクラシック音楽の素養も色濃くあって、なにしろバークリー音楽大学卒ですし、ふだんから管弦楽などもどんどん聴いている様子がInstagramにあがっています。中国系の母と祖父はクラシックのヴァイオリニストですから。
それに以前も言いましたが、レイヴェイの書く曲はティン・パン・アリー系のものにそっくり。なにか天賦の才だろうと思うほどクラシカルで、そんな世界にはもともとオーケストラ伴奏が似合います。西洋近代音楽からの影響も強くあって成立した音楽なわけですし。
DAWアプリを駆使するベッドルーム・ポップみたいに展開されてきたいままでのレイヴェイも、その曲じたいはオーケストラ伴奏で歌うのに向いたクォリティをハナから持っていたものともいえて、2021年のデビュー時にはまだインディーだったし予算レスで、だから宅録や弾き語りをやっていただけだったのかも。
どっちでやってもきれいに映えるのがクラシカルな美しさを持つレイヴェイ・ソング。いままでずっと室内楽的に料理されているの(しかリリースされてこなかったわけですし)ばかり聴いてきて、それで個人的にレイヴェイにはまり、ピアノやギターでのソロ弾き語りなんか絶品だと思うほど。
でも大規模管弦楽との共演で、この曲やあの曲がどんな感じになるか、とっても興味があります。今年に入ったくらいから昇龍の勢いに乗っている音楽家ですし、録音されたに違いないとぼくは思うアイスランド交響楽団とのこないだの共演コンサートが一日もはやく公式作品としてリリースされますようにと願うばかり。
できればライヴにも行きたい。来日しないのならこっちが出かけていきたいと思うほど、レイヴェイが好き。
(written 2022.10.29)