アナーキーなのにキャッチーで明快 〜 アヴラム・フィーファー
(2 min read)
Avram Fefer / Juba Lee
いわもさんのツイートで知りました。
ニュー・ヨークで活動するフリー系ベテラン・ジャズ・サックス奏者、アヴラム・フィーファーの最新アルバム『Juba Lee』(2022)は、ギター(マーク・リボー)、ベース(エリック・レヴィス)、ドラムス(チャド・テイラー)のカルテット編成。
ベーシストとドラマーはアヴラムと旧知の仲ですが、今回はじめてマーク・リボーの参加が耳を惹きます。ギターは和声的自由を失わないでサウンドにカラーとバリエーションをつける結果をもたらしていて、聴いた感じ大成功といえる内容。
しかもジャンルに分類できないこのギターリストは音楽をキャッチーに仕上げることにも貢献していて、前衛的でアナーキーなパンク・ジャズであるにもかかわらずかなり聴きやすく明快なのが今作の特色でしょうね、全員が。
部分的にカリブ香味をもふりまいていて、3曲目「Sky Lake」もそうだし、特に5曲目「Brother Ibrahim」とかは鮮明です。アルバート・アイラーの時代からフリー・ジャズにカリビアン・カラーははっきりありましたが、このジャンルもまたジャズの伝統にのっとっていることの証左だったともいえましょう。
オーネット・コールマンみたいな6「Love Is in the Air」もマジ美しいバラードで聴き惚れます。7「Gemini Time」もオーネットっぽいフリー・ジャズ・チューン(これもカリブっぽい)。無調ばかりでなくモーダルなナンバーもいくつかあります。
そもそも(そんなフリーキーには流れない)曲メロやサックスが吹くラインが聴きやすくてポップ。ドラマーの演奏するリズムにしたって、多くの曲で4/4拍子の定常ビートを維持するベース・ラインにしたって、わりあいわかりやすいジャズで、フリー・スタイルであることを忘れてしまうくらいです。
(written 2023.3.2)
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