暑さで弱った心に 〜 サンバとボサ・ノーヴァの中間あたりで、エドゥアルド・グジンとレラ・シモーイス
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Eduardo Gudin, Léla Simōes / Eduardo Gudin e Léla Simōes
きれいでいいジャケットでしょう、それだけでちょっと聴いてみようという気になったアルバムです。ブラジルのエドゥアルド・グジンがレラ・シモーイスと全面共演した『Eduardo Gudin e Léla Simöes』(2019)。こ〜れがいいんですよね。真夏の灼熱猛暑もなんだかちょっとピークを越えつつあるのかなと思わないでもないここ数日ですけれど、今年のひどい暑さにバテている心をそっとやさしく癒してくれる、そんな音楽じゃないかなと感じています。
このアルバム、エドゥアルドが牽引しての作品に違いありません。エドゥアルドはプロデューサー/シンガー・ソングライターにしてギターリスト。音楽的には軽めのサンバからボサ・ノーヴァにかかるあたりのテイストを持っていると言えるんじゃないでしょうか。レラはゲスト・ヴォーカルですけど、曲によってはヴァイオリンも弾いているようです。さらにゲストといっても、全面的に歌でフィーチャーされていますよね。エドゥアルドも歌っています。
まずなんといってもエドゥアルド(とほかのひととの共作も多いみたい)の書いた曲がいいし、サンバの香りを残しつつボサ・ノーヴァに寄ったようなギター演奏の刻みも心地いい。エドゥアルドもレラもヴォーカルのほうはほぼ完璧なボサ・ノーヴァ・スタイルじゃないでしょうか。伴奏はエドゥアルドのギターのほか、コントラバス、ほんの小さな音でのドラムスの三者がメイン。ちょこっとだけほかの楽器が入ることもあり。ドラマーはほとんどの曲でまるでシェイカーみたいなシンプルで控えめな演奏に徹しています。ギターは多重録音してあるかゲスト・ギターリストがいるかで、とにかく二本聴こえる時間もありますね。
そんな感じのサウンドで、この軽いサンバ/ボサ・ノーヴァのやわらかいノリとヴォーカルが、やさしい涼感をともなってぼくら聴き手の心を癒してくれるように思うんですね。どこまでも激しさはゼロで、軽く、控えめに、ソフトに、そよ風のようにふわりとただよってくるギターとヴォーカルが本当に心地よくて、真夏のあいだ毎日のように聴いていました。体感温度がちょっと下がりますね。
心地いいギターのリズムに乗るソフトなヴォーカル、特にアルバム前半の2〜5曲目あたりはこりゃもうなんど聴いてもため息が出る至福の時間です。サウダージ一色のアルバムですけど、聴いていてとても幸せな気分で満たされていく作品です。
(written 2020.8.22)
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