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かわいい赤ちゃんになるまで

産まれた子を抱けば、母性って芽生えると思ってた。

わたし、そんな都合良くなかったです。そりゃあひねくれものだもん。

娘は分娩後すこし体調を崩したので、産まれてからしばらく、わたしと娘は離れて過ごした。3時間おきに面会に行って、なんだかよくわからない生き物を眺める日々。
看護師さんに、「抱いてあげて」と言われる。(えー、点滴刺さってるのに怖いなあ)と思いながら抱く。
ああ、あったかいなあ。
なんだかよくわからない生き物から、あったかい小さい生き物にレベルアップ。

10日後。退院して家に連れて帰る。3時間おきの授乳とはいうけれど、「3時間以上間隔をあけずに授乳」であって、実際は、2時間とか下手すれば30分で次の授乳はやってくる。
それでもおっぱいをあげて、げっぷして、すぐ寝てくれればいいけれど、なぜか泣き止まない。しかもそれが、夜に多い。
「立って」「動きながら」「抱っこ」しないと泣き止まない。抱っこしながら動き回る、ペッパー君みたいなロボットがいたらいいのに。
そう思いながら常夜灯の下、ひたすらぐるぐる動き回ってた。
これは人間じゃない。未知の生命体と対峙してるんだって言い聞かせてた。
あったかい小さい生き物から、あったかい未知の生命体にレベルダウン。正直、このころには絶対戻りたくない。

いつのまにか生後50日くらい経った。あれ、今日は夜6時間ぶっ通して寝られたじゃん!みたいな日が安定して続くようになる。夜寝られれば、こっちの余裕もできて相乗効果。余裕がないと、心を無にするしかない。
ずっと虚ろだった目に意思が感じられるようになる。そしたら、表情がうまれた。笑ってる。
こっち見て笑ってる!ここでやっとかわいいと思えた。未知の生命体から、私のかわいい赤ちゃんにレベルアップ。

結果。産まれた子が、かわいい赤ちゃんになるには、2か月かかりました。
そうなると、おっぱいに吸い付くのもかわいい。あやすと笑うのもかわいい。抱っこすると泣き止むのもかわいい。ってなってくる不思議。

娘もわたしも、ここまでひとまずよく頑張った。と、小さく褒めてみます。

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