和紙の強度を上げる研究
おじさんだよ。
横浜トリエンナーレに行くついでに世界堂に買い出しへ。
いつものニスと液体膠と白クレヨンの買い足しに加えて、今回は新たにチューブの胡粉と透明水彩絵の具を買いました。
透明水彩は、今まで水彩絵の具を使いたい時は15年以上前の小学校の図工の絵の具を使っていて…流石にあんまりじゃないかと思って購入。
それとチューブタイプの胡粉。
日本画の画材の胡粉に膠が混ぜてあって、そのまま使える楽ちんなタイプです。
これを今日はメインで使って、一枚絵を仕上げていきますね。
そもそも何故胡粉を買ったかというと。
おじさんは最近園芸にハマった影響で、園芸用品を探しに近所の大きなホームセンターによく出かけるようになりました。
そのホームセンターの材木売り場に、店員さんが木材をカットしてくれるコーナーがあるのですが、
そのカットで出た端材を一枚30円で販売しているのを最近発見したんです!
同時期に、メルカリで和紙を大量購入しました。
これは前のnoteでもお話しした、画用紙を板張りする際の下貼り用の和紙なのですが、出品者さんがおまけで色付き和紙や金銀の箔が入った和紙を沢山つけてくださいました。
なので、これを組み合わせて、板に和紙を貼って絵を描き、ニスを塗ることを最近何度かやっています。
ただ、3枚目を見ていただくと特にわかりやすいんですが。
板の端の和紙がぼろぼろになっているの、伝わりますでしょうか?
板に薄い和紙を一枚貼るだけだと、消しゴムやクレヨンで描く圧に耐えられなくてすぐ紙がぼろぼろになる。
そしてもう一点気になるのが、安い板を使っているので、下地の板の木目が画面に出てしまうことです。
上手く活かせれば面白い画面が作れるのでしょうが、ジェッソを使ったマチエールと同じで、不必要な場面に凸凹があるのはただただ絵の進行に邪魔なだけで…
そこで今回、アクリルや油彩だとジェッソのようなものにあたる、胡粉を購入してみました。
下地に胡粉を重ね塗りすることで、鉛筆で描くのに不自由ない強度と描きやすさ、それと和紙の質感の両立を目指していきます。
まあせっかくのかわいい和紙の柄は潰れてしまうのですが、今回は実験ということで目を瞑ります。やっていきましょう。
まず胡粉の前に下書きをします。
今回は初めてなので、手順は可能な限り日本画を真似ていきましょう。
本来日本画では転写シートで写したものを墨でなぞって下書きしますが、墨は持っていないので、鉛筆で描いてその上からフィクサチーフで固着させます。
胡粉は水で溶いて使います。日本画用の柔らかいハケで、最初は横向きに塗っていきます。
一層目を塗った状態。この時点で固着しきらなかったのか画材が悪かったか、鉛筆が若干伸びてしまいました。
二層目。完全に鉛筆の筋が残りましたね。今回は伸びた部分に胡粉を重ね塗りしたり、後から白クレヨンを塗って誤魔化しました。
乾くとサラサラした、ジェッソともまた違う不思議な手触りになります。
和紙らしい描き心地は健在です。
今回は最後に艶出しニスを塗りますが、この手触りを活かした仕上げをしてみても面白いかなあと思いました。
また、下書きの上に白い胡粉を重ねたので、普段はくっきり残る鉛筆が淡い線になって綺麗です。
本来の工程では潰してしまう筆跡ですが、今回はこれを残したまま淡く仕上げていくことにしました。
ここから日本画は顔料を使って描いていきますが、今回はかなり薄く溶いたカーキの透明水彩を重ねました。
そこから淡さをなるべく消さないよう、カッターで細く削った色鉛筆で薄く色を入れて消しゴムで軽く消し、また色鉛筆で描いて消しゴムで消し…と繰り返し、最後に白いクレヨンで微調整して完成です。
ニスで仕上げたものがこちら。
複数回の消しゴムかけにも充分耐える強度が手に入りました。
ニスも問題なく塗れました。
ジェッソより圧倒的に乾くのが早いのも魅力ですね。
ただうっかり筆圧をかけすぎると胡粉が削れてしまうのが気になるかなって感じです。
あとやっぱり胡粉二層目くらいからは和紙についていた箔は隠れてしまいました。
和紙の柄を活かして描くのは別の方法を考えないとですね。
というわけで、おじさんでした。
余談ですが、横浜トリエンナーレ、めちゃくちゃ良かったです。
政治思想が強い作品が多くて見るのが辛い、とSNSだとよく言われていますが、それを理由に見に行かないのは勿体ないなあと思う。
よかったらお近くの人は行ってみてくださいね。
おやすみなさい。
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