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コロナ禍でのアメリカ生活㉔「アメリカの富をLooting(略奪)しているのは誰か?」

5/31に元大統領候補の民主党上院議員のBernie Sandersが、以下のTweetを発した。

"The richest 400 Americans sit on $3 trillion – the size of the entire UK economy," "The billionaire class now pays a lower tax rate than people living paycheck to paycheck. The looting of America has been going on for over 40 years – and the culprits are the ultra-rich."(400人の米国の最も富裕な人々は、英国経済に匹敵する3兆ドルの資産の上で暮らしてる。彼らビリオネラー達は、給料から給料の綱渡りで暮らす人々より、低い税率で納税している。過去40年以上アメリカを略奪している犯人は、彼らウルトラリッチの人達だ)

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もちろんGorge Floyd事件によって発生した、貧しい或いは衝動的に略奪を犯した人々の行為を念頭において、敢えてBernieらしい富裕層との対比を使ったキツイTweetである。社会正義を求めて平和的な抗議運動をしている人達にとって、こうした略奪や暴動(扇動者によってしばしば起きる)は、反対勢力に利用される汚点だが、Bernieは、じゃあ富裕層による富の略奪はどうなんだ?と問題を突き付けている。

パンデミックの中、たった2か月間で世界の25人のビリオネラー達は2,550億ドルも資産を増やした

「ウルトラリッチは、パンデミックであろうがなかろうが、いつでもよりリッチになる」、こんな公式が当てはまるのが、Forbesによる世界のトップ25人の富裕層のリストである。この25人の株式資産は合計1.5兆ドルで世界の富の約6%を占める。彼らはパンデミックで株価が急落した3/23から、2か月間で株式資産を2250億ドルも増やした。火事場泥棒とは言わないが、失業や休業、外出制限、感染拡大など、一般の人達がまさにコロナで最も打撃を受けている最中に、ウルトラリッチたちは焼け太りをするというアイロニーが見える。

この25人のリストの中で最も多く資産を増やしたのは、FacebookのCEOのMark Zuckerbergで、過去2か月間でFacebookの株価は60%以上上がり、5/22現在で彼の資産は865億ドルとなり、4月のForbes’ 2020 list of the World’s Billionairesで世界で7番目の金持ちだったMZは、今は4番目に跳ね上がった。36歳のMZは、Warren BuffettやOracleのLarry Ellisonよりも金持ちである。

2番目に資産を増やしたのは、AmazonのCEOのJeff Bezos(世界で一番の金持ち)で、3/23以来株価は29%増、彼の個人資産は26%増(300億ドル)で、5/22現在個人資産は1,469億ドルに膨れ上がった。

テクノロジー企業のみならず、小売りの巨人であるWalmartも、政府がコロナ禍の消費者をサポートするために提供した景気刺激のためのお金が家庭に届くと、株価は最高値となり、Q1のリベニューは、オンラインセールスは74%増、トータルでも10%増の1346億ドルとなった。 Jim, Alice and Robert Waltonという創業者一族の3人の株式資産は合計1,650億ドルになる。

コロナ禍がヒットした3/23以来過去2か月間、米国の失業手当申請者は3,900万人に上ったが、25人のウルトラリッチのうち、1人も株式資産を減らした人はいない。

Bernieや他の多く人達が指摘する「大企業のアメリカの富のLooting(略奪)」をもっと真剣に考えるべき

人々が自宅待機中、Facebook(+Instagram )で友人知人と多くの時間を費やし、AmazonやWalmartでオンラインショッピングをしてる間、大企業はますます大企業化(独占化)し、ウルトラリッチはもっとリッチになる。これは資本主義社会に生きる以上、常に起こりうることだが、やはりここで、誰もが制度疲労を起こしている米国社会の仕組みそのものを、再考すべき時が来ているように思う。

特にGAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon and Microsoft)に代表されるテクノロジー企業は、現在我々の生活に大きな影響を及ぼしており、彼らのサービスがないと生活が立ち行かない状況に陥る。彼らはまた、政治的にも大きな影響力を持っており、Googleは過去10年間で5億ドルをロビー活動に費やしており、彼らはあたかも議会で議席を確保しているかのように、政策に対して大きな影響力を持つ。

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彼らはその影響力を、法律の改正や構造改革のために使うかどうかは、大きな疑問であるが、富の格差是正は、彼らのビジネスの顧客の生活を安定させるために非常に重要な意味を持つ。富を循環させない限り、社会は動脈硬化を起こし、Sustainableな成長は望めない。

今はすでに21世紀に入って20年も経っている。いつまでも20世紀的な自分だけが勝てばいいという考えから抜け出す時だと思う。


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Hisami Ohshiba
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