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氷川きよしに見る『振り切ることの難しさ』(「25th Anniversary Concert Tour ~KIIZNA~」)

9月4日、大阪フェスティバルホールで開催された「25th Anniversary Concert Tour~KIIZNA~」を拝見してきました。
1年8ヶ月ぶりに活動復帰したKIINAさんのライブを拝見してみて、さまざまな点で感じることの多かったライブでした。

今回、記事を書くにあたり、音楽評論家としての目線でKIINAという歌手と今回のライブのクオリティについて、また、アーティストとして独立したKIINAさんが今後、抱えるであろう問題点など、2つの記事に分けて書かせて頂く事にします。

最初にお伝えしておきたいのは、今回の記事は、決してファンの方とは同じ意見にならないであろうという事です。
KIINAさんの活動休止前の2022年12月、東京国際フォーラムで開催された「きよしこの夜」を拝見しました。
あの瞬間から、昨日のコンサートまでの1年8ヶ月という時間は、彼(今回の記事では、あえて彼、という人称にします)にとってもさまざまな時間だったでしょうし、私自身も評論家として多くのJ-POPアーティストのライブを拝見し、さまざまな問題を感じた時間でもありました。
ですから、それだけに、48歳という年齢を迎えた歌手が、今後、どのようにJ-POP界で生き残っていくのか、ということも含めて、”独立”という選択肢を選ばれたのだろうと感じます。
そういうことも含めて、今回は、音楽評論家として客観的な視線で記事を書かせて頂きたいと思いますので、内容は辛口です。
それでも読みたいと思われる方だけに記事を提供します。

J-POP界というものは、この2年、即ち、コロナ禍の後から、急速に変化を遂げています。
この激動期の中では、どんなに過去に業績を持っているベテランであっても、生き残ることは非常に難しい時代になっています。
なぜなら、人件費や資材の高騰、会場費などの高騰に加えて、ベテランと呼ばれる人達を支える世代の高年齢化、さらにはバーチャル産業やサブスクというデジタルによる音楽配信というふうに、時代の中で取り残されないためには、いかに時代を先読みし、生き残っていけるかということを考える時代になりました。
芸能事務所の従来のやり方では、チケットが売れない、従来のツアーのやり方では収益が上がらない、という状況になってきているのが、現在の日本の音楽業界です。
日本のギャラは、韓国の10分の1とも言われ、国内で収益を上げるより、海外の方が収益が上がるという状況も生まれ始めています。
世界第2位を誇った日本の音楽市場の現状は、人口減少と共に、変化してきていることは確かであり、あと10年もすれば、ベテラン歌手を支えてきた世代のファンは間違いなく減少していくと考えられます。
その世代と同世代でない歌手達は、今後、どのように生き残っていくのか、ということは切実な問題と言えるでしょう。

そういう現状を、この2年、数多く見てきました。
その中で、氷川きよしという歌手がどのように今後、生き残り、自分の場所を作っていくのか、という事については非常に興味があります。
そういう視点からも今回の記事は、ファンの方にとっては納得のいかない部分も多々あるかと思いますので、それでも読みたい方だけに提供したいと思います。
無料部分はありません。


氷川きよしという歌手

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