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エビで鯛を釣るどころか、タイで詐欺師に釣られそうに_微笑みの国・タイ一人旅①

バックパッカーに憧れつつも四つ星以上のホテルに泊まる矛盾

世界で人気の観光地の一つ、タイ。
トムヤンクン、ソムタム、ガパオ、パッタイ、グリーンカレー…タイ料理はおいしいし、飛行機で5〜6時間、エアチケット代もそんなに高くない…海外一人旅、遅咲きデビュー(アラフォー突入、35,6歳の頃かな?たぶん)の私が、バックパッカーに憧れつつもバックパッカーにはなれず、一人でも大丈夫そう…と選んだのがタイ・バンコクでした。

その以前に、イギリス、フランスには一人で行ったことがありました。
しかしそれらは、すでに友達と旅行した場所を一人で辿るような旅でして、未踏の地ではなかった。対して、タイ・バンコクに行くのは(タイのリゾート地には行ったことがあったけれど)初めて。これこそ正に初めての一人旅。

その頃の私は、一人旅に一体何を求めていたのでしょうか?

今となってはあまり覚えていませんが、既知の場所を訪れる時の安心感、懐かしさの反対側にある、好奇心、緊張感のようなものを求めていたのかな。
あとバックパッカー気取り。
随分前に沢木耕太郎の深夜特急を読破し、憧れはしましたが、しかしそこに登場するような安宿に泊まれるはずもなく、ご飯は現地の粗末なものでもいいけど、やっぱり歩き回って疲れた体を癒やすには風呂は入りたいし、ゆっくり寝たい。社会人として普通に働くアラフォー突入女は、そんなに冒険はできないし、どこかに安定は求めてしまう。

腐れ縁のような関係で将来性もなく、惰性で長くただ付き合っていた彼と分かれて数年。今思えば、それなりにお金もあったし、一緒に旅行に行くような友達は家庭を持って子供もできて長期旅行は無理、姉妹も子育てで忙しく、長期休みは一人で暇を持て余す始末、何か好奇心をくすぐるような体験を求めていたのでしょう。
しかしバックパッカーを気取りたくても勇気がなく、安心と癒やしを求めてそれなりのグレードのホテルに泊まり、はっきりいって中途半端な、これが世にいう「自分探しの旅」というものなのでしょうか(自分探しってなんだよって、突っ込みたくなりますが、自分がしていたのかもですよね〜、していたのでしょうねえ)。

バンコク1日目、さっそく釣られる

バンコクには夜以降についたのかな?? それか早朝。そのあたりはあまり記憶がないのだけれど、バンコク1日目のことは鮮明に覚えています。
ジプシーやガタイの大きい奴らがいるヨーロッパと違い、同じアジア、背丈も似ているし、なんか少し親近感のあるアジア、バンコク。治安もそこまで悪くない。周りを見て、物騒な場所でなければ、あの日本人の旅行者のバイブル、地球の歩き方を少し見ていたって襲われはしない。と、それでも少し警戒しつつ、ちらっと地球の歩き方から引きちぎった地図をコソッとチラ見しつつ、ホテルから市内の鉄道網を利用していざ、バンコクの街中へ。

バンコクはタクシーもですが、鉄道網も整備されているので、旅行者には、特に一人旅初心者の私にはうってつけの人気観光地でした。

観光の有名スポットもたくさんあるし、ご飯も美味しいし、楽しみしかなかった。で、まあ、まずは有名な観光スポットである「ワット・ポー」、有名な涅槃仏があるあの場所にまずは行こうと、市内の鉄道網を利用して最寄り駅に降り立った私は、立ち止まって少しだけ考えていました。
すると小さなオジサンが人懐っこい笑顔(正に笑顔の国、タイの笑顔です)を浮かべながら、「どこに行くの?」と聞いてきました。ふつうに街中に立っているようなオジサンです。
日本で例えるなら、街中の商店街の店にいる、ただの普通のオジサンが、外国人に向かって、「やあ日本に旅行かい?どこに行きたいの?行き方教えてあげようか?」的な親しみやすさ。スペインで身ぐるみ剥がされるという苦い経験をしていながらも、オジサンの明るい笑顔にそんなことはすっかり忘れて、私は言いました。
「ワット・ポーに行きたいの、どう行けばいいの?」と。

するとオジサンがこう言うのです。
「休み、休み!!」って、日本語で。
日本からの観光客も多いバンコク。現地の商店街の方々はそれなりに日本語も話せて、素直な私はそのままオジサンの話を信じてしまいました 。
「えっ?休みなの…せっかく来たのに、どうしよう…」。
そんな感じで少し考えていると、オジサンが言います。
「エキスポ、エキスポ、おすすめ、おすすめ」って。
オジサンもそこまで日本語ができるわけでもないし、お互いに、日本語と英語が混じった変な会話で意思疎通しながら話をして分かったことは、今日はワット・ポーは休みだから行けないけれど、ちょうどエキスポをやっていて、途中に有名な寺院や仏閣をめぐりながらそのエキスポに行ったらいいよ、ということでした。そしてオジサンはご親切にも、おすすめスポットをいくつか紹介して下さり、さらに私にどんなところに行きたいかも聞いてくれて、バンコクのおすすめ観光地を巡る旅をアテンドしてくれて、さらには
そこら辺で暇を持て余すようにしてダラダラしているトゥクトゥクの運転手を呼んで「ここと、ここに行くように」と指示してくれて、トゥクトゥクの運転手と値段交渉までしてくれて、たくさんのところを巡っても、たった◯バーツでオッケーという確約まで取ってくれたのです。
その主要観光地めぐりのためにトゥクトゥクにいくら払ったのか、正確には覚えていないので◯バーツとしましたが、その価格は、地球の歩き方に書いてある基準値を上回るものではなく、なんならこんなに安くていいのかな??っていう値段でした。

まあ私も、行きたいところが休みならしょうがないし、まあ、ある程度の値段でバンコク市内を巡れるのならそれもいいかなと思い、オジサンの提案にのり、トゥクトゥクでバンコク市内を巡ることに。まあその一番の目玉は、バンコクで開かれているというエキスポですが。

とある寺院で母親がタイ人のイケメン日本人に会う

トゥクトゥクで案内される寺院は、なんだか小さな、由緒があるのかないのかよくわからない寺院だらけ。トゥクトゥクの運転手に促されて寺院を巡り、祈り、トゥクトゥクに戻って移動、みたいなことをしていた途中に立ち寄った、とある寺院でお祈りしていると、
「日本の方ですか??」と日本語で話しかけられました。
ふりかえるとそこにはスラッとしたイケメン。
「そうですが…」と答えると、そのイケメンは、こんなところで日本の方にあるなんて、奇遇ですねと笑顔を見せ、私もついこないだタイに戻ってきたばかり、自分はタイ人の母と日本人の父の間に生まれて、小さい頃は日本で育ち、今は日本とタイを行ったり来たり…みたいな、自身の生い立ちを語り始めました。
そのイケメン、顔立ちはどちらかというと日本人寄りだなあなどと考えながら、私はそのイケメンの話を「ほ〜〜」と感心しながら聞いておりました。
話の中でイケメンが言うことには、タイではいろいろな宝石がとれるのだそうで、なかでもルビーなどが有名で、そのイケメンはタイと日本を時折往復しているのだけれども、タイに来たときにはルビーやら宝石をたくさん買って日本に戻るのだそう。
というのも、タイの宝石は格段に安く品質も良い、日本だとその何倍、何十倍もの値段で売っている、だからタイに来た時には、できるだけの宝石を買って、それを日本に持ち帰って、日本の宝石店などに持ち込む。そうすると、店でも大変喜ばれて、いい値段で買ってもらえるので、お金も儲かる、ということでした。

いざエキスポ会場へ

トゥクトゥクでのバンコク巡りはまだまだ続き、最後にメインのエキスポ会場に…。
って、エキスポってどこ?
私がイメージするエキスポは万博。タイ・バンコクのエキスポは??

連れて行かれた先は、宝石屋でした。
店の店主が、ルビーやらなんやらの宝石を紹介してくれて、破格の値段で販売してくれるとのこと。しかしながら私は、宝石には全く興味がない。
何しろ指輪もネックレスもしません。金属アレルギー?? そんなことはないけれど、指輪は邪魔だし、ネックレスは肩が凝る。だからしない。
宝石屋に連れて行かれたって…。

エキスポ会場、とどのつまり宝石屋は、たぶん私のようにエキスポといって騙されて(だまされずに本当に宝石が欲しくて買いに来た日本人もいるかもしれませんが)連れてこられた日本人や海外からの観光客が沢山。

宝石に全く興味のない私は、店内を一巡りはしましたが、何も買わずトゥクトゥクに。そしてまたトゥクトゥクに乗って、元の場所に戻ったのでした。

「なんだよ、エキスポって、ただの宝石屋じゃん!! あのオジサンに騙されたわ」って思ったのだけれど、その日の私はまだ「あのオジサンに適当紹介された」くらいにしか考えていませんでした。

そうして翌日。今日こそは「ワット・ポー」を見に行くぞ!!
と意気揚々と同じ駅に降り立った私。そこにはまた昨日のオジサンがいて、デジャブ??と思えるほどに「どこ行くの?」と聞いてきて、「ワット・ポー」と答えると、「休み、休み」と言ってきたのです。うじゃうじゃいる日本人、オジサンは昨日のことなのに私の顔なんて覚えていなかった。

そこで間抜けな私はやっと、昨日、このオジサンに騙されたことを知ったのでした。

そうしてあらためて考えると、騙されてエキスポに行く途中の寺院で出会ったイケメン青年もそのオジサンの仲間で、彼はタイ人と日本人のハーフということで親近感を抱かせながら「タイの宝石は安いかたくさん買っていって日本で売ると高く売れるよ」と日本人のカモに儲け話を吹き込む役、そうして欲に駆られた間抜けな日本人は、エキスポといって連れて行かれた宝石屋で大量に宝石を買い込む…というストーリーの詐欺だったのだと気づきました。

ワット・ポーは開いていました

オジサンは「休み、休み」と連呼しているけれど、気にせず、ワット・ポーに行くと、ちゃんと開いていました。たぶん昨日も開いていたのでしょう。

旅人のバイブル、「地球の歩き方」を片手にタイ・バンコクに乗り込んだ私ですが、そのバイブルを端から端まで読んでいるわけもなく…

日本に帰る飛行機の中、暇なので「地球の歩き方」を読んでいたら…
ありましたよ!トラブル集に。まさに私が遭った詐欺の手口そのものが、ほとんどそのまま記載されていました。
典型的な詐欺の手口に、私は危うく引っかかるところでした。
宝石に全く興味がなかったおかげでそのトラブルは避けることができましたが。

ということで、せっかく「地球の歩き方」を買ったのならば、一通り、ちゃんと読んでから現地に行こうねって、反省。

微笑みの国・タイでは引き続き、詐欺師に釣られそうになる出来事が発生します。
微笑みの国・タイ一人旅②でお話させていただきますね。

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