0からの開発組織の作り方
対象者
非エンジニア経営者
非エンジニア新規事業担当者
0から作る開発組織
私は開発会社の経営者というポジションもあって、普段経営者の方々に開発関連のご相談をいただくことも多いのですが、その中で開発組織を作りたいというお話もよくいただきます。
最近ではCTOの方々が開発組織作りについて発信されているのをよく見かけるようになりました。ただこういった発信は私のようなエンジニアには参考になるものの、社内にエンジニアが1人もいない非エンジニアの経営者からすると、理解、適用が難しいものばかりです。実際私に相談される方達もこのパターンが多く、どこから手をつけていいか分からない為、開発組織作りに着手出来ない状態となってしまっています。
そこで今回は、非エンジニアで社内に1人もエンジニアがいない経営者の方や、新規事業開発の責任者の方向けに、0から開発組織をどう作っていくかについて実際の事例も交えて説明したいと思います。
初期構成
CTO、技術顧問・・・1名
ベテラン業務委託・・・1名
駆け出しエンジニア・・・1〜2名
CTO、技術顧問
まずCTO、技術顧問です。技術指針や今後の採用のしやすさなど、ここに入られる方によって開発組織の方向性が決まるので、最も重要なポジションとなります。軸となる部分なので採用の順番としても一番最初に決定したほうがよいかと思います。
こちらにCTOと記載しましたが、最も採用難易度が高い職種がCTOとなります。たまたまいい方がいらして、意気投合してやってくれるということであればかなりラッキーな状態ですが、普通のエンジニアですら採用難易度が高い現状かつエンジニアが1人もいない状態で、フルコミットのCTOが採用出来る確率は皆無に等しいです。
ではCTO、技術顧問を採用するにはどうすればよいかというと、最近は副業で入ってもらう形が一般的となっています。ある程度フェーズが進んだCTOの中には技術顧問をやってくれる方も割といらっしゃいますし、どこかしらのCTOとつながることで、横のつながりで紹介してもらえることもあるので、まずは色々なCTOとつながり、お話を聞いてみるところからスタートしてみてください。その中で話が合う方に週1、夜だけでも顧問として依頼するところが最初の1歩となります。
ベテラン業務委託
ベテラン業務委託の方の役割はCTO、技術顧問の方が設計したアーキテクチャをメインで実装してもらうところが主な仕事です。メインエンジニアとなるので、フルコミットで出来ればフルスタックに近い技術スタックをお持ちの方がいいですね。
探し方ですが、ベテラン業務委託の方はリモートメインであれば、割とフリーランス市場にいますので、多少コストが高くてもフリーランスエージェント経由で探すのが早いです。もちろんCTO、技術顧問の知り合いで紹介してもらえるならそれがベストです。
また採用プロセスとしては、普通のビジネスマンとしてチェックを行い、CTO、技術顧問の方に技術のチェックは行ってもらいます。
駆け出しエンジニア
開発組織を作っていく上では、サービスを最も理解し、サービスを良くする為にどうしたらよいかを考えられる人が必要となってきます。駆け出しエンジニアって必要なの?と疑問に思われると思いますが、現在の採用市場において、サービスにコミット出来て技術も出来るエンジニアを正社員採用するのはかなり困難な為、マインドの高い駆け出しエンジニアを採用し、CTO、技術顧問、業務委託の方に技術を鍛えてもらい、サービスにコミットする正社員エンジニアを作っていくという方針が一番早く開発組織として立ち上がる方法かと思います。
駆け出しエンジニアの採用はWantedlyなどに出せばあっという間に集まりますが、フィルタリングのコストが膨大となるので、こちらもリファラルをメインに採用すると効率はいいです。採用フローは業務委託と同じフローとなります。
事例
この方法は実は私が最初に入社した会社がモデルとなっています。その会社は中古のゴルフショップで在庫連動するPOSレジとECサービスを外注で作った後、メンテ要員かつ最初のエンジニアとして未経験の私を採用しました。最初のエンジニアなので、上司はシステムを開発した別会社の業務委託で、先輩エンジニアもその会社の業務委託の方でした(後にその上司と先輩は独立して開発会社を作り、私がいた会社と直接取引の形となります)。
私も最初は戸惑いましたが、エンジニアになれた喜びと上司や先輩が業務委託にも関わらずしっかりサポートしてくれたので、私も無事一人前のエンジニアになれ、難易度の高い複雑なシステムでしたが、私1人でもまわせるようになりました(2〜3年くらいで)
この形式は、一見開発組織として立ち上がりづらそうではありますが、中堅エンジニアが採用出来ない状況であれば、外注を使って開発組織を作ることが最速の方法だということが学べました。こちらの会社はしばらく正社員エンジニアは私1人でしたが、後にこのシステムを販売することとなり、多くのエンジニアを採用していきました。業務委託の上司はずっと私がいた会社と取引を続け、後にシステム販売の会社を別会社化した時は取締役で入っていたので、今考えると小さい開発会社をM&Aで吸収してしまったり、開発会社ごと取り込んでしまうのもありなのかなと思いました。もちろん手前で一緒に仕事をしたほうがいいとは思います。
まとめ
こういった方法でエンジニアが全くいない0の状態から開発組織をスタートすることが出来ます。立ち上がった後は開発を繰り返していくことで、駆け出しエンジニアが育ち、サービスを担ってくれる立場に成長していってくれると思います。サービスの成長と共に将来のCTOを育てていっていただければと思います。