「巻き込まれ力」があなたのキャリアを救う 〜 Next Be Open 〜
今回はWebエンジニアのキャリアについて考えてみたいと思います。
世間ではよく、キャリア設計を考えましょうとか、この職業であればこういったキャリアを歩むべきだといった様々な「キャリア論」が展開されています。特にWebエンジニアの若い方々は、こうしたキャリア論に関心を持つことが多く、イベントで取り上げると集客がしやすい話題でもありますよね。ただ、最近のWebエンジニアキャリア論のトレンドとしては、「計画的偶発性理論」がやはり注目されています。
計画的偶発性理論とは
最近では時代の変化が激しく、計画的なキャリア形成がますます難しくなっています。そうした中で、偶然の出来事を活かしてキャリアを良くしていこうという「偶発性を計画する」アプローチが強くなるのも納得できますね。
実は、この考え方に近い内容を、2018年にもキャリア系のイベントで発表していたんですよね。(当時は「計画的偶発性理論」を知らなかったのですが)
偶発性を高める方法
では、この偶発性を高めるためにはどうすれば良いでしょうか。計画的偶発性理論では、以下の5つの行動特性を持つことで、偶発的なチャンスを引き寄せやすくなると言われています。
好奇心
持続性
楽観性
柔軟性
冒険心
とはいえ、これだけではあまり具体的にイメージしにくいかもしれません。そこで、僕が個人的に「Webエンジニアとしてキャリアを引き寄せた」と感じた方法をお伝えしたいと思います。それが以下の3ステップです。
Be Open
安請け合い
着地
全く意味が分からないと思うので(笑)、これから詳しく解説していきますね。
巻き込まれ力でキャリア形成
1. Be Open
まず最初は「Be Open」ですね。あれ?これ、どこかで見たことがあると思いませんか?そうです、「RUNTEQ CREDO」ですよね。RUNTEQでは、この考え方が重要視されていますが、実はキャリア形成においても非常に効果的です。RUNTEQでは
と定義されており、「素直さ」が強調されていますが、今回はもちろん素直であることも大切ですが、ここでは文字通り「なんでもオープンにする」という意味で捉えてください。もっと簡単に言えば、思ったことや状況を常にオープンな場で自己開示する、ということです。
偶然を引き寄せるためには、まず最初にきっかけを作る必要があります。このきっかけ作りの第一歩が、自分の情報をオープンに発信していくことです。自分の情報を発信することで、多くの人に認知されるだけでなく、「この人はこういうことを考えているんだ」「こういうことをやりたい人なんだ」「こういうことができる人なんだ」と、他者に自分のメタ情報を刷り込むことができます。何も発信していない状態は、他者から見れば存在していないのと同じです。全く宣伝されていない商品が売れないのと同じように、発信がなければ偶発性も生まれません。
今はSNSやRUNTEQのtimesなど、情報発信の場がたくさんありますので、積極的に発信して、周囲の人に認知してもらいましょう。以下は、僕が「Be Open」を通じてきっかけを作れた例です。
「飲み会は断らない」と豪語してたら、飲みに誘ってくれる人が増えた。業界の様々な人と出会えるきっかけにもなった。
イベント登壇の機会やハッカソン出場の機会があれば、必ず出ていって発表した。懇親会で色々な人に話かけてもらえてつながりも増えた。
サラリーマンの頃「新規事業やりたい」って言い続けてたら新規事業開発の部署を任せてもらえた
察するとかは無理なので、ひたすら発信していきましょう。
2. 安請け合い
様々な発信を続けていると、「相談に乗って欲しい」「イベントに登壇してほしい」「助けてくれない?」といったお誘いや依頼が増えてきます。ここで、「自分にはちょっと難しいかも」「大変そうだな」と感じて断ってしまう人も多いかもしれませんが、これが重要なポイントです。絶対に断らず、安請け合いしてください。依頼する側は「断られるかも…」と控えめな気持ちで依頼していることが多いため、そこで即OKを出すだけで信頼貯金が稼げます。信頼を得るために最も効果的な行動は、「Give First」であり、さらに「Move Fast」ですよね。あれ?これもどこかで聞いたことがあるかもしれませんね。
3. 着地
こうやって様々な依頼に巻き込まれることによって、必然的に締め切りややらないといけないことが発生します。そうですね。ここに「ネガティブ・インセンティブ」が発生するんですよね。まだ見てない方は以下をご参照ください。
また、どうしても間に合わない、あるいは自分には難しいと感じる場合もあると思います。そういう時には、言われたことをそのままやるのではなく、依頼者が納得できる「着地点」を探ってみてください。依頼者は、手段込みでお願いしてくることもありますが、本来は達成したい「目的」があるはずです。提示された手段以外でも、自分の得意な方法でその目的を達成できるのであれば、依頼者も納得されると思います。この「着地させる力」こそが、Webエンジニアとしての重要なスキルになるんですよね。
ここで、どうしても間に合わない、またはできなかったという状況も出てくると思います。そんな時には、なるべく早く「ジャンピング土下座」で謝罪しましょう。最悪なのは、「言い訳から入る」ことです。どんな形であれ、依頼を受けた以上、すべて自分の責任です。ここで謝れない人は、人として最低の印象を持たれ、誰からも信頼されなくなります。噂は広がり、その周囲では「あの人はできない」という印象が強く植え付けられてしまいます。逆に、きちんと謝った上で相談すれば、一緒に解決策を探してくれたり、次回も頼ってくれたりします。まずは、人のせいにせず、しっかり謝ることが大切です。まさに「Take Ownership」が重要ですね。あれ?これもどこかで聞いたことがありますね。
まとめ
この「Be Open」、「安請け合い」、「着地」を繰り返していくことで、自然と自力もつき、周りからの信頼貯金もどんどん増えていきます。その結果、偶発的なチャンスを引き寄せ続け、気がつけば自分のキャリアが引き上がっている、という状況になります。実際、フルスタックエンジニアは、こうやって巻き込まれながら成長していった人たちが多い職業(?)です。強くて信頼されるWebエンジニアを目指すなら、この「巻き込まれ力」を高めていくことがとっても重要ですよね。