限界OLとして生きる
地方都市で生きる私は自粛明けの先日、自宅から少し離れたとある山にトレッキングに行ってきた。トレッキングと言っても初心者中の初心者なのでハイキング?というレベルの山だ。そんななんちゃってトレッキングで感じたことがあったのでしたためておこうと思う。
私は平日なんの変哲も無いOLである。友人との食事でデザートまで躊躇いなく頼むために、たまの貧乏海外旅行や豪遊国内旅行へ行くために、自分の好きな物を買うために稼いでいる。上司に叱責されることもあるし、期日に迫られヒーヒー言いながら時にイライラしながら働いていることもある。仕事に行きたくなさ過ぎて涙がボロボロ流れてくる日もある。いくら楽しみな瞬間のために働いていると言ってもその気持ちだけでは乗り切れないと思う日もある。そんな時「好きなことを仕事に出来ればすべて解決するのに」と思っていた。
山登りの途中、見わたす限り美しい景色に囲まれている山小屋のオーナーが布団を干していた。そろそろ山小屋がオープンするようだった。私はオーナーの姿を眺めながら「好きなことを仕事にできるなんて素敵だな」と思ったが、それと同時に「私には出来ないな」と思った。毎日つらいつらいと言いながらもなんとか働いてそのご褒美として非日常を尊び、自分自身を労う。もしも自分の好きなことが毎日できる環境にいたら、その喜びに鈍感になり、また別の環境を羨しく思ってしまう。私は無い物ねだりな人間なのだと瞬間的に気がついた。そんな自分は欲望にさいなまれているなとつくづく感じる。
まあそんなこんなで私は今の毎日に満足しているのかもしれない。日々限界だと音をあげながら生きるのが性なのかもしれない。私はあの山小屋のオーナーにはなれない。だって今も毎週日曜日の夕方に自分への励ましに買ってしまうスターバックスラテ片手に文章をしたため、スマホでは次のボーナスで何を買おうか思案中なんだもの。ああ欲望よ。
私はこうして限界OLとして月曜日を迎えるのである。それも悪くないのかもと思いながら。
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