「もっけの幸い」

 いったい教育現場はどうなっている──そう息巻くキャスターやコメンテーターの現場周辺・ご自身がどうなっているかわかったものではないのに、素知らぬ顔で正義の味方、聖人君子になれるからテレビは怖い。

 「いじめ」といえばすぐに学校を連想する人が多いけれども、じつはこれ、大人社会の方が酷いもんでしょう。学校だったらまだ守ろうとする人、指導する人がいるし、事が公になればみんなで騒いでもくれるけど、大人社会では自分で身を守るしかありません。誰かに泣きついても、「世の中ってそんなもの。我慢して頑張りなさい」で終わりでしょう。

 セクハラやパワハラだっていじめです。それでも大人たちは仕事を辞められるからまだマシかもしれず、逃げ場のない子供たちは自分を責め、自分を傷つけていくしかないのです。

 この混乱を逆に「もっけの幸い」として、特定の立場の人たちの利益にしかならない教育改革が頭をもたげるとしたら、それこそがもっとも警戒すべきことでしょう。(2006.10.18)

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