マリアンナとパルーシャ
ボランティア活動を続けていらっしゃるタレントの東ちづるさんが絵本を出版したという話をラジオで聞き、早速買い求めました。『マリアンナとパルーシャ』(主婦と生活社)。ドイツにある平和村で暮らす、子どもたちのお話です。
ぼくのような口先だけの人間は、東さんのように実際にその土地に行って活動をする行動的な人たちがうらやましく、そして美しく見えてなりません。もっとも東さんは、誰にだってできることはある、無理をしないで自分のできる範囲のことをすればいいと、不甲斐ないぼくを慰めてくれるのですが。
東さんの話を聞いて、あるいは絵本をみて、ぼくは池澤夏樹さんの『タマリンドの木』を思い出していました。これは愛の物語だけれど、主人公のひとり樫村修子の「場」はタイにある難民キャンプです。なぜ平和な日本にとどまらないの? 愛する男との生活に?
修子の答えはこうです。「自分がやっていることの意味を絶対に疑わないですむ」。もしも人生に判断基準、行動基準があるとしたら、まさしくこの一言ではないでしょうか。(2001.07.24)
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