マイホーム主義
いつものように『茨木のり子集 言の葉(2)』を読み返していると、160頁の7行目に蛍光ペンが引かれています。すっかり忘れていたのでしたが。
マイホーム主義が思想の原点ともなる──ということを日本人は知らなかったし、今も知らないと言える。
日本の男たちが「男らしさ」を強調するのはその本質が「女々しい」せいだし、やたら天下国家を語りプチ・アドベンチャーに出かけたがるのは母なる港に舫う安心感あってこそ。いっそむき出しの自分を露出して見せなよ。それに徹底的にこだわってみなよ。
金子光晴の抵抗は何かの特殊で偉大な思想に依ったのではなく、拠点はマイホーム主義であり、生きのびる思想であったのだ。
家庭を守ると言うのは決して保守的な行為ではありません。その究極は「さよならにっぽん」をも覚悟することなのでしょう。(2006.06.10)