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「自虐的」という言い方をよく耳にします。歴史教科書では、日本の侵略戦争にこだわると「自虐的」。最近の亡命事件では、領事館員のお粗末な対応の真相を追求すると「自虐的」。クサいものにはふたをしろってわけですね。でないと、自分(の国)に自信がもてない。

 さて、サッカーのワールドカップもいよいよ目前だけれど、近づけば近づくほど、サッカーに詳しい(ハズの)人たち、自信なくまた落ち着きなく、なってきてるんじゃありません? 不安な材料ばかりを無理矢理探し出してきたりして。

 評論家たちなんて大変ですよ。日本代表が外国チームに勝ったって、時差ボケだとか本気じゃないんだとか言って素直に褒めない。負ければどんな練習試合・調整試合でもボロクソ。監督をあっさり首になったような人まで偉そうに論評するから笑っちゃう。自信がないから信じられない。信じられないから悪いことばかり考えてしまう──違うでしょうか。

 そんななかでぼくが感心したのは、日本代表の中心選手、海外でも活躍する中田選手や小野選手の落ち着いた話しぶりです。テレビのインタビューを見たり、本を立ち読みしたりしたんですがね、大人ですよ、彼らは。自分が見えてるし、相手も見えている。ワールドカップですら、日常の延長なんだね。いつも戦ってる相手と戦う(しかもホームで!)わけだから、もちろん緊張はするにしても、脅えることはないわけだ。

 勝利も敗北も、栄光も挫折も肥やしにして、彼らは前進してゆくのでしょう。いったいどこまで行けるものか。トルシエ監督に請われるまでもなく、無邪気に応援しようじゃありませんか。(2002.05.27)

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