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がんと『マインドフルネス』

『マインドフルネス(瞑想)』って流行っていますよね~
僕の中だけですかね?マイブーム?
逆に、既にちょっと古かったりしますかね?

『マインドフルネス』を医療分野に活用し始めたのは1970年代とのことですので、既に50年ほどの歴史があるようです。
『マインドフルネス』を実践することによって、情動制御力の向上、認知的な柔軟性の向上、価値観の明確化などが可能となり、それが種種の効果につながると考えられています[Labelleら、J Clin Psychol 2015: 21-40]。
当初は慢性疼痛患者に適応されましたが、その後糖尿病や肥満などの生活習慣病、エイズ(AIDS)、循環器・呼吸器疾患、そして「がん」に対して効果の検証が行われ、不安・抑うつの改善、ストレス軽減、生活の質の向上、倦怠感の改善などの効果が得られることがわかってきています。

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▼そもそも、マインフルネスとは?
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意識的に、「今この瞬間」に価値判断をすることなく注意を向けることと言われることが多いと思います。
つまり、評価のレンズやフィルターを通さずに、今ここで起きていることを観察し、それに気づくことができる状態がマインドフルネスな状態です。
まだちょっとわかりにくいですかね?
マインドフルネスの反対の状態は「マインドワンダリング」、マインド=心がワンダリング=さまよっている状態です。
心ここにあらず」な状態ですね。
本を読んでいても、途中で「そういえば、あれ。どうだったろうか?」とか「この前のあれ。だいじょうぶかなぁ?」とか、目では字を追っていても、別のことを考えてしまい内容が全然入ってこないなどは良く経験されることかと思います。
がん治療中であればなおのこと、
「手術を受けたのは失敗だったのではないだろうか?」
「このお腹の痛みは、がんが再発してしまったせいではないだろうか?」
「先日の検査で腫瘍マーカーが上がっていたのがとても心配だ!」
「今でも結構副作用が大変なのに、今度どんどんひどくなっていったらどうなってしまうんだろう?」
このような不安や心配、後悔は、「今(現在)」ではなく、過去や未来に意識が向いているために生じています。
「今」以外に心がさまよっているマインドワンダリングに費やされている時間は、ハーバード大学の研究によると47%にも及ぶとされています。
そのうち、良いこと・ポジティブなことを考えているのは20%ほどで、80%はネガティブなことを考えているとされています。
さらに、その90%は同じことを繰り返し、繰り返し考えているとのことです。
つまり、我々の頭の中では、人生の多くの時間、ネガティブなことが堂々巡りしてしまっており、そこから抜けられなくなってしまっているということですね。
こういう状態を「思考の反芻(はんすう)」というらしいですが、悩み続けてしまい、抑うつ状態が増長されてしまいます。
「思考の反芻」が起こってしまったときに、それが起きていることに気がつき、「今ここ」に意識を戻し、「今」に意識をとどめておくことができれば、「思考の反芻」から抜け出すことができると考えられており、『マインドフルネス』が効果的な場面の一つとされています。

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▼コーピングとしてのマインドフルネス
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ひどいストレスを感じたときに、それを緩和するために行われる対処方法を「(ストレス)コーピング」といい、医療界では結構広く認知されています。
「コーピング」には「問題焦点型」と「情動焦点型」の2種類あるとされています。
「問題焦点型」は、ストレスの原因を特定し、それを解決しようとする対処方法です。
「情動焦点型」は、感情をコントロールして対処しようとする方法です。
「がん」というストレスにさらされた患者さんがまずとるのが、「問題焦点型」コーピングです。
つまり、がんの情報を集める、誰かに相談する、がんによい食事やサプリメントを探して始める、などなどです。
手術で切除すれば治る状況であれば、
「結局は手術を受けるのが一番いい!」「じゃあ、頑張って手術をうけよう!」
となるのでしょうが、
治すことが難しい状態の「がん」であった場合には、そううまくはいきません。
「抗がん剤治療を受ける」は解決策の一つだと思いますが、一時はうまくいっても、多くの場合効果がなくなってしまうタイミングがきてしまいます。
抗がん剤治療だけではありません。食事療法だったりサプリメントなどの代替療法だったりも、この「治すことが難しいがん」に対しては根本的な問題を解決することが難しく、「問題焦点型コーピング」では対処することができません。
「治すことが難しいがん」によるストレスには、「情動焦点型」コーピングが必要になります。
情動焦点型コーピングの例としては
・旅行に行って気晴らしをする
・仲の良い友達などにつらい気持ちを聴いてもらう
・好きな音楽を聴いたり、アロマなどでリラックスする
などですが
『マインドフルネス(瞑想)』もそれらと同じ効果が期待できます。
というか、下のような利点があり、むしろそれらより効果的な可能性があります。
『マインドフルネス』な状態においては、「物事をありのままに受け入れる」ことや「視野広く物事を考えることができる」ようになり、問題が解決できないことへの焦りや苛立ちから解放され、それらに費やしていた時間やエネルギーを本来取り組むべきことに向けられるようになることが期待されます。マインドワンダリングに充てられていた47%の時間の多くを本来の目的に使えるようになるということです。
『マインドフルネス(瞑想)』には、旅行にかかる移動時間やお金が不要ですし、話を聴いてくれる友達もいるに越したことはないかもしれませんがいなくてもできます。音楽やアロマの準備も必要ありません。
スマホアプリや、youtube動画もたくさんあり、
今からでも始められます。

とはいえ、すぐには効果が実感できないと思います。
しかし、頑張って(?)継続していると、いつの間にか気持ちが安定し、スッキリした気分でいられる時間が増えてくるはずです。
経験者は語るです!(僕はほぼ毎日マインドフルネス瞑想やってます)

皆さんもご一緒にいかがですか?

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