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神位不要、別格の社、日前國懸神宮#2
両神宮に祀られると伝わる二枚一組の宝鏡、
マフツの鏡。
表鏡とされるマフツのカガミは、
人の身を
裏鏡とされるマフツのヤタカガミは、
人の心を
写し出すとされます。
こんな鏡、世に出回ったらえらいことですが、
実際、縄文当時はここぞというとき
伝家の宝刀のように使われ、
民を治めるに役立ったようです。
縄文当時は、
私のもの、個人の所有という考えより、
みんなのもの、神のものという概念が
優先されたようなので、
現実利用は可能だったのかもしれません。
そのお話しとして、
ソサノウ・ハナキネさんとイナタ姫の
第六子とされるオオトシクラムスビさん
(奈良県橿原市・大歳神社、滋賀県米原市・
筑摩神社、岐阜県高山市・水無神社他祭神)に
まつわるエピソードが
知られるところですね。
子に竈尊/カマドカミことオキツヒコさん
(滋賀県米原市・筑摩神社、大津市・
竈殿社他祭神)、
大山咋神さん(大津市・日吉大社、京都市西京区・
松尾大社他祭神)がおられ、
自身兄弟にオホナムチ・クシキネさん
(青森県弘前市・岩木山神社、島根県松江市・
佐太神社他祭神)、カツラギヒコトヌシさん
(葛城坐一言主神社、葛木御歳神社他祭神)、
スセリ姫(奈良県吉野町・大名持神社、
奈良県宇陀市・白岩神社他祭神)がおられるようですね。
因みにスセリ姫ですが、
ホツマツタヱにおいてはお二人おられ、
人となりが記されています。
お一人は、
ソサノウさんとイナタ姫の第八子。
オオトシクラムスビさんの妹。
スセリとは、下、末の意で、
文字通り八番目の末っ子姫ということですね。
それ以外は謎に包まれます。
もうお一人のスセリ姫は、
第三代大物主コモリ・ミホヒコさん
(京都府長岡京市・子守勝手神社他祭神)の
18娘の第六子で、タマネ姫やイソヨリ姫の
妹さんであり、
ホノススミ・サクラギさん(茨城県桜川市・
鴨大神御子神主玉神社、滋賀県高島市・白鬚神社、
春日大社内院・栗柄神社他祭神)の奥さん。
こちらのスセリの意は、
スセリ宮(ホノススミの別名)に因るそう。
ホノススミ・サクラギさんは
寄生虫の病に苦しんだといいます。
春の七草のひとつ、
スセリ草(芹・シラヒゲ草)をもって病を克服した
ため、スセリ宮・シラヒゲ神と愛称が付いたとか。
このホノススミ・サクラギさんは
世に言う海鉤彦で
ニニギさんとコノハナサクヤ姫の三つ子の第二子。
第三子のヒコホオデミ・ウツキネさんとは
兄弟喧嘩ばかりしていたので
お父さんのニニギさんから
伊奢沙別宮(福井県敦賀の都)にて
仲直りしなさいと戒められますね。
ここで興味深いのは、
海鉤彦、山鉤彦の間で鉤替えが行われたとか。
山幸彦とは陸を支配するもの。
海幸彦とは海を支配するものの意だそうですから、
ただの兄弟げんかではなさそうですね。
何があったんでしょう。
配下の臣勢力の交換が成されたのか。
サクラギさん側にいた臣勢力が君に見切りを付け、
ウツキネさんに日本の将来ビジョンを見たのか。
陸の支配者と冠がつくほどの皇子、
ヒコホオデミ・ウツキネさん。
兄の釣り鉤を無くしたぐらいで項垂れて
青菜に塩はないでしょう。
とぼとぼ砂浜を歩いていると
塩土翁に励まされ、
導かれるままに気がつくと九州の鵜戸の浜に。
そのまま鹿児島宮(龍宮)の主、
ハテツミ(綿津見)神のもとへ。
現地に腰を据え、
鹿児島宮のプリンセス、豊玉姫と結婚。
ここでヒコホオデミさん側と綿津見側側との間に
何かしらの連携、連帯が芽生え、
何かが生まれたのではないでしょうか。
向かうべく方向が回廊のように浮かび上がり、
示された。
がっちりとタッグが組まれた瞬間のように思います。
ここに、
「御祖に継がふ天君」の誕生です。
賀茂の御祖に継ぐの意ならば、
御祖はこの場合、
ウガヤフキアワセズ・カモヒトさんを
いうのかもしれません。
塩土翁は見返りやリターンを求める
サクラギさんに見切りをつけ、
端正で正直者、働き者のウツキネさんに将来を見、
ビジョンを描いたようにも思えます。
少し逸れましたが、
オオトシクラムスビさん、母に神大市姫説も
ありますね。
この神大市姫、大山祇神の娘の設定になっています
ので、サクラウチ神筋の誰かであることは
蓋然性大と思われます。
さてオオトシさん、悩み事がありました。
つづく