世親の『倶舎論』における五位七十五法、今回は心所法に入っていきたと思います。心所とは心作用の意味です。パーリ上座部のアビダルマでは心の中身とも表現されます。有部においては心の善悪を決める重要な法体です。
○五位七十五法
心の善、悪、無記(善でも悪でもない中性)を決めるのは心所法であり、以下のように定義されます。
心法についても以下のことが言えます。また、中性の心である無記心にも正しい智慧(正智・正慧)の生起を妨げるか否かで、分類されます。
心所は以上になります。大地法の念・定・慧が善法に含まれていない理由は、念には正念と邪念、定には正定と邪定、慧には正慧と邪慧(悪見)と正法と邪法が混ざっているためです。また、有部にとっての無漏の智慧は択滅無為なので、正慧は有漏の智慧と考えるほうが妥当でしょう。