世親の『倶舎論』における五位七十五法、心不相応行法へ入る前に有部が説く因果関係について触れていきたいと思います。心不相応行法の「得・非得・生・住・異・滅」がかなり難しいので、理解を助ける意味でも先に法体の因果関係をお話したほうがいいかと思い、今回の記事をはさみました。
法体の生起の原因となるものは他の法体です。どのような法体が原因となり、何の法体が結果となるかは実に様々であり、この因果の法則は一様ではありません。一つの法体は他の無数の法体を因として生起し、同時に他の無数の法体を果として生起させていると言えます。
まとめると、以下のような関係になります。
○六因五果
・能作因→増上果
・倶有因→士用果
・相応因→士用果
・同類因→等流果
・遍行因→等流果
・異熟因→異熟果
・ 離繋果
○四縁五果
・増上縁 →増上果
・等無間縁→増上果
・所縁縁 →増上果
・因縁 →士用果、等流果、異熟果
・ 離繋果
○六因四縁
・能作因ー増上縁、等無間縁、所縁縁
・倶有因ー因縁
・相応因ー因縁
・同類因ー因縁
・遍行因ー因縁
・異熟因ー因縁
説一切有部の教説の情報量は原始仏教よりも遥かに多いですね。私も頭が痛くなります(笑)。互いに因と果になって同時生起する因果関係と、因が先で果が後の因果関係があるというくらいの理解で大丈夫だと思います。さて、次回は心不相応行法に入っていきます。
【追記】
・異熟因→異熟果:道徳的かつ主体的な因果関係
・同類因→等流果:数多くの自然現象的な因果関係
・能作因→増上果:幅広く論理的・思惟的な因果関係をも含む