脳内哲学対話「愚行」その1

登場人物

知性(ソフィス)

素直(ホーネスト)

奔放(アマノウズメ)

創造(イデル)

怠惰(ラッセル)

根暗(ブラック)

場面
今回の脳内哲学対話のテーマは「愚行」です。
一般的にはあまり聞き慣れない言葉になりますが、どんな話が展開されるのでしょうか?


本編

アマノウズメ:こんばんは。今夜、ファシリをやるのは俺様、アマノウズメだ。この脳内哲学対話は、本体の中に住んでる6人の人物が一つのテーマをもとに哲学対話を繰り広げる内容になってる。今夜の哲学対話のテーマは、「愚行」だ。俺様はこの言葉、あんまり聞かねえなと思ったんだけど、まずはこの言葉を聞いたことあるか。そっから哲学対話を初めて行くぜ。誰でもいいいから、答えてくれるとありがてえな。

ラッセル:聞いたことあるかないかで言えば、聞いたことはあるけど、そんなに使わない言葉だね。あーでも、俺の好きなことは「愚行」って言われそうかもね。

イデル:何が「愚行」なのか、それが一つ大きな問いになりそうなのだ。最初の問いに答えるなら、「愚行」はもちろん聞いたことあるのだ。それと「愚行」には、いろいろなものを生み出すヒントが満載なのだ。

ブラック:「愚行」は聞いたことあるよ。僕は「愚行」って言葉を聞くと暗さの中にある明るさをイメージするんだ。そして、それに沈んでいきたくなる。

ホーネスト:他の人と同じ答えになるけど、聞いたことあるよ。ボクの「愚行」のイメージは繁華街かな。ボクは繁華街にはなるべく近づきたくないから、「愚行」もやりたくないかも。

ソフィス:さて最後は私になるようである。哲学対話は、話したくなければ話さなくていいというルールがあるが、この問いはまあ答えよう。私も皆と同じように、聞いたことはもちろんある。私は、「愚行」という行為は「秩序」が乱れる行為だと考えている。そのような行為を認めるのは大変に難しいのである。

アマノウズメ:これで全員喋ったな。ソフィスちゃんの言う通り、話さなくてもいいのが哲学対話だぜ。ところで、ソフィスちゃん。ソフィスちゃんは、「愚行」がお気に召さないみたいだね。

ソフィス:君の言う通り、私は「愚行」が嫌いである。それは先ほども述べたが、「秩序」が乱れるからである。

アマノウズメ:ソフィスちゃん。「秩序」が乱れるのがなんでそんなにいけないわけ?

ソフィス:アマノ君。「秩序」があるから、「社会」が機能するのである。「秩序」なき「社会」は、ただの「混沌」であり、それでは人は生きていけない。

イデル:「社会」が「混沌」だと本当に生きていけないのかな? それは疑わしいのだ。

ソフィス:イデル君。混沌とした社会では、自分の身の安全さえも保障されない。そんな「社会」では人はけっして安心して生きていけないのだよ。

アマノウズメ:ソフィスちゃん。「愚行」が必ず「秩序」の乱れにつながるか? 俺様はそこが納得いかないね。

ソフィス:アマノ君。もちろん、必ずつながるわけではない。しかし、「社会」から見て「愚行」だと思われる行為を人々がするようになれば、自ずから「秩序」は乱れることになる。

イデル:言いたいことは何となくわかるのだ。でも、社会から見て「愚行」だとされる行為を皆がするなんてことは、そうそう起こらないと思うし、それにそもそも「社会」から見た「愚行」ってどんなことなのだ?

ホーネスト:繁華街で起こるようなことだと僕は思うな。例えば「ドラック」、「暴力」、「性的な逸脱」

アマノウズメ:なるほどね。ホーちゃんが今、例にあげてくれたものが、「社会」の「秩序」を乱すものだとソフィスは思うわけ?

ソフィス:ホーネスト君のあげたものは確かに「社会」の「秩序」を乱すものだと言える。誤解のないように言っておかねばならないが、私自身は「愚行」を好まないが、だからといって「愚行」そのものを無くした方がいいと主張しているわけではない。「愚行」はあくまでも「秩序」が崩壊しない程度であれば問題ないという見解に立っている。

ラッセル:はあーそもそも、「社会」と関係ある「愚行」なんてどこまであるんだろうね。例えばさあー休みの日を一日中寝て過ごすってことをしたとして、「社会」とは全然関係ないと思うよ。だけど、「個人」にとっては「愚行」かもしれないよね。

ホーネスト:「社会」にとっての「愚行」、「個人」にとっての「愚行」、「愚行」にはその二つの種類があるってこと?

ラッセル:二つの種類というよりも、誰が「愚行」と判定するかによって、何が「愚行」なのか決まると思うんだよね。

ホーネスト:でもそうなると「愚行」の内容は、みんな好き勝手に決めていいことになるよね? でもボクらは共通した「愚行」のイメージを持っているから、「愚行」って言葉がボクらにとって通じる言葉になるんじゃないの?

続く。

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