名古屋の中華料理屋での恐怖体験
先週は仕事で名古屋に行った。
3日ほどいたのだが、最終日の前日、雨が降り、
夕食はホテル近くの中華で済まそうということになった。
中華屋はいい感じに小汚く、数人の常連。
タバコを吸いながら伝票を数えているおばあちゃんもいて
なかなか個性的だった。
店員も女性はインド系の子。
店長らしき男性料理人は中国人だった。
10人近くの男で店に入ったこともあり、
取引先の社長が餃子、からあげなどを大量に頼み、
皆でビールをあおった。
追加で注文もガンガンし、バクバク食べていた時、
中国人店長が、手をにぎにぎしながらテーブルに向かってきた。
中国人店長
「あー今日はたくさんありがとござます。ちょっとよろしですか?」
僕らはたくさん頼んだから、なにかサービスでもしてくれるんじゃないかと期待した。しかし、僕らが期待したものと全く違うサービスが始まったのだ。
中国人店長
「あの〜よろしかったら、ジョークいかがですか?」
僕ら
「えっ!!??ジョーク???」
僕らはざわついた。
飲食店でジョークのサービスなど受けたことがない。
なんなんだこの店は。。。紹興酒とかじゃないのか。。。
僕らは二つ返事でジョークをお願いした。
中国人店長はちいさく咳払いをして話し始めた。
中国人店長
「えーなかなかOKを出さないで有名なCM監督がいました。
あるCMの撮影中、やっぱりOKがでません。
役者は一生懸命がんばっているのに。。。。
映像の確認中、役者の一人が言いました。
"次もきっとカットだ"」
全然ウケなかった。
これまで楽しかった食事会が一瞬でしらけた。
こいつは何をしてくれたんだ。
それにカットの意味も違う。
しかも中華屋でキットカットって。
せめて中華料理のジョークにして欲しかった。
「中華のジョークちゃうんかいっ!」
このツッコミで少しだけ現場は和やかになった。
名古屋は怖い。そう思った。
僕らは何事もなかったように、たくさん飲み。たくさん食べた。
すると中国人店長がまたやってきた。
中国人店長
「あの〜すいません。なぞかけはどうですか?」
こいつのメンタルなかなかだぞ。僕らは感心した。
相当くやしかったようだ。
だから、彼になぞかけするチャンスをあげた。
チャンスをもらった中国人店長はとてもうれしそうだった。
中国人店長
「では、なぞかけですが、エッチななぞかけと普通のなぞかけがあります。
どちらがよろしいでしょうか?」
この男何を言っているんだろうか。。。
そんなもんエッチななぞかけに決まっている。
僕らはエッチをオーダーした。
中国人店長はまたも小さく咳払いをした。
中国人店長
「たくさんの男女が出演するAVとかけまして、
蒙古タンメン中本の北極とときます」
不思議なことに僕らはひとつになっていた。
僕らの声は一つになっていた。
僕ら(おっさん10人)
「そのこころは?」
中国人店長は満面の笑みでこう言った
「どちらもカラミが多いでしょう」
僕らは納得した。
小さく、本当に小さく「おぉ」と言った。
全くウケなかった。
違う。うますぎたのだ。
それからまた僕らは何事もなかったかのように食事を続けた。
ジョークもなぞかけも最初からなかったかのように。
食事を終え、会計になった。
取引先の社長が払ってくれた際、領収書を持ってきたのは
あの中国人店長だった。
中国人店長は粘った。
中国人店長
「最後、ギャグやらせてください!」
僕らは現実に引き戻された。
そうだ、今までのことは全て現実だったんだ。
僕らは受け入れたくなかった。
だが、目の前の中国人店長の目をみると
彼の目は復讐に燃えていた。
なんとかして笑いをとる。
M-1決勝戦に出てくる芸人と同じ目をしていた。
僕らは許可をだした。
中国人店長
「最後のギャグ。エッチなやつとエッチじゃないやつある。どっちするか?」
もうこうなりゃタメ口だ。
僕らはもちろんエッチなギャグを頼んだ。
中国人店長
「あるAV監督が、男2女1のAVをとるか、女2男1のAVをとるか迷っていた。それでスタッフたちに聞いた。3ぴー両論だった」
僕らは自然と拍手をしていた。
おもしろとかではない。
中国人の負けん気。彼のメンタルの強さ。
僕らは感心した。
外に出ると、もう雨は止んでいた。
僕らの心と真逆だった。
ホテルまで帰る数十メートル。誰も言葉を発さなかった。
すると、取引先の社長がポツリと言った。
「またあの中華いかなきゃな」
僕らは小さくうなづいた。
この人についていきたい、そう思わせる名古屋の夜だった。
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