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【台湾の面白い建物】湯圍溝溫泉公園
これは、礁溪の街で偶然発見した公共温泉施設です。
2020年8月、礁溪の山の中にある"跑嗎古道"を4時間ほどかけて歩きました。礁溪に戻ってきた際、ここが沢山の温泉ホテルのある温泉街であるとあらためて気がつき、どんな施設があるのか歩き回ってみました。そうしたところ、街中の公園の一角に、この公衆浴場があるのを発見したんです。ちょうどハイキングの後で汗だくだったので、利用してみることにしました。
この様な温泉施設は、北投や烏來でいくつか利用したことがありますが、日本の温泉施設を使い慣れた感覚からすると、とても違和感があるものです。印象として、床の上にコンクリートの箱を置いてその中に入るという感じ。60cmくらいの高さの浴槽の側壁を跨いで入らないといけません。
これは、日本の浴槽が入りやすさを考え、断面に工夫をして、ある程度浴槽が床の中に掘り込む様な設計をしているのに対し、その様な断面計画をせず、コンクリートの床をフラットに作ってしまうので、その様なことになってしまいます。
それが、この"湯圍溝溫泉"の浴場の使い勝手は、まるで日本の感覚そのままだったのです。これにはとても驚きました。台湾全土を当たってもこれほど日本的な設計をしている温浴施設はとても少ないのではないでしょうか。断面の処理も、浴槽を跨いで入るということにはなっていません。フラットに洗い場から入れる様、日本スタイルで計画されています。
それに、特筆すべきは内装材料として木材を大量に使っていること。台湾で使う内装材は、湿度が高い関係から、石やタイルを使うことが多いのですが、ここの大浴場は、架構から床壁の内装まで、多くの部分で木材を使っています。この様な木質の内装による温浴施設ということでも画期的な建物だと思います。
後でこの建物のことを宜蘭の友人に話したら、この建物は"象設計集団"が設計していると教えてくれました。これは、日本の建築家による設計だったのですね。道理で僕の感性にしっくりくるわけです。
温泉施設のみでなく、このエリア一帯が渓流沿いで緑に囲まれており、とても居心地の良い公園に整備されていました。
住所:宜蘭縣礁溪鄉德陽路99-11號
外部空間
この温泉施設は、公園の中にある公共施設であり、自然に溶け込む様な、切妻屋根の低層建物で計画されています。軒もとても低く、大きな屋根面が印象的です。
この大屋根の下はオープンなエントランスになっていて、その先には足湯が計画されています。このエントランスを中心に、男湯と女湯が左右別々に配置されています。
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インテリア
内装はこの様に、そこここに木材を使っています。ちょっと古めかしい雰囲気に、とてもノスタルジックな感じがしました。
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外構計画
この施設名の"湯圍溝"というのは、日本語で言うところの渓流を意味しています。"溝"というのがそれですね。ですので、この温泉施設は礁溪にある湯圍溝という渓流の畔にあります。その川辺を緑化した公園とし、その一部に温泉施設が配置されています。ですので、この場所全体の名称が"湯圍溝溫泉公園"なわけです。
この公園全体も、とても良い雰囲気に計画されています。象設計集団は、ランドスケープにもとても力を入れてデザインしているので、このような空間に仕上がったのでしょう。
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象設計集団の台湾リエゾンオフィスの代表、北条さんのことはこの記事で紹介しています。興味のある方は、こちらもご覧ください。